分数・比・指数表記を、ちゃんと「わかって」使っていますか?

電験三種の計算で手が止まる、本当の原因

分数の割り算では、
割る数をひっくり返す。

指数の掛け算では、
指数部分を足す。

並列回路では、
抵抗の逆数を足す。

どれも、学校や参考書で
一度は教わった計算です。


それでも、仕事終わりに
過去問を開いていると、

「なぜ、ここで逆数にするんだっけ」

10310−3は、0がいくつ並ぶんだ?」

「この比は、どちらをどちらで割ればよいんだ?」

と、手が止まってしまう
ことがあります。


これは、あなたの計算力が
低いからではありません。

これまで「計算のやり方」は
教わっても、
なぜその計算をするのかまで、
十分に説明されてこなかったからです。


理由のわからないルールは、
疲れているときほど思い出せません。


少し形を変えられただけでも、
どのルールを使えばよいのか
わからなくなります。


そこで今回は、電験三種の計算を支えている、

  • 分数
  • SI接頭語
  • 指数

について、暗記ではなく意味から考えていきます。

一見すると地味な内容です。

しかし、この地味な基礎こそが、
公式を正しく読み、
単位換算のミスを減らし、

応用問題でも崩れないための
土台になります。


① 並列回路の合成抵抗

なぜ、抵抗を並列につなぐと小さくなるのか

1R=1R1+1R2

この公式を見て、

「なぜ抵抗を求めたいのに、
いきなり逆数を足すの?」

と思ったことはありませんか。


直列回路なら、R=R1+R2R=R1​+R2​

と、そのまま抵抗を足せます。


ところが並列回路になると、
突然すべてが分数になる。


ここで、参考書を
閉じたくなった人も
いると思います。(はい!)


でも、並列回路の公式が
逆数になるのには、
きちんと理由があります。


並列にすると、電流が通れる道が増える

抵抗を「電流が通る道」と
考えてみましょう。


1本道しかなかったところに、
もう1本の道が増える。

すると、電流は2つの道へ
分かれて流れられます。

道路でも、1車線より2車線の方が、
多くの車を通せますよね。

電気でも同じです。


抵抗を並列につなぐと、
電流の通れる道が増えるため、
回路全体として電気が
流れやすくなります。


この「電気の流れやすさ」
を表すのが、コンダクタンスです。G=1R

抵抗 R が大きいほど
電気は流れにくくなり、
コンダクタンス G
小さくなります。


反対に、抵抗 Rが小さいほど
電気は流れやすくなり、
コンダクタンス G は
大きくなります。


なぜ「流れやすさ」を足すのか

並列回路では、
それぞれの抵抗に
同じ電圧がかかります。


各枝を流れる電流は、I1=VR1
I2=VR2

です。


分かれて流れた電流は、
最後に合流します。


したがって、回路全体の電流は、I=I1+I2

となります。

それぞれの式を代入すると、I=VR1+VR2
I=V(1R1+1R2)

一方、回路全体を
1つの抵抗 R として考えると、I=VR

です。


この2つを比べると、1R=1R1+1R2

が出てきます。


つまり、この公式がしていることは、

  1. 抵抗を「流れやすさ」に変える
  2. それぞれの流れやすさを足す
  3. 最後に抵抗へ戻す

この3つだけです。


並列にすると道が増える。
だから、全体は流れやすくなる。


このイメージがあれば、
なぜ逆数を足すのかまで
思い出せます。


また、並列回路の合成抵抗は、
必ず一番小さい抵抗よりも
小さくなります。


計算後に、

「合成抵抗の方が大きくなっている」

と気づいたら、
どこかで計算を間違えている
可能性があります。


これは、本番でも使える大切な
確認方法です。


② 比を簡単にする、本当の意味

20:5を、なぜ4:1に直すのか

20:5=4:1

「両方を5で割ればよい」

そう教わったけれど、
なぜ両方を同じ数で
割ってよいのか、
いまひとつ腑に落ちていない。


そんな人もいると思います。


比で大切なのは、
数字そのものの大きさでは
ありません。


2つの数字が、どのような
関係になっているかです。


20と5の関係を調べると、20÷5=4

20は、5の4倍です。


一方、4と1の関係を調べても、4÷1=44÷1=4

4は、1の4倍です。


数字の大きさは
変わっていますが、
「片方がもう片方の4倍」
という関係は変わっていません。


だから、20:5=4:1

と表せます。


同じ景色を、違う物差しで見ている

20:5と4:1は、
まったく別の比では
ありません。


同じ景色を、違う大きさの
物差しで見ているようなものです。

両方の数字を
同じ数で割れば、
2つの数字の関係は変わりません。

20÷5=4

5÷5=15÷5=1

そのため、20:5=4:120:5=4:1

となります。


最も簡単な整数比にする場合は、
両方の数字を最大公約数で割ります。


比を簡単にする目的は、
数字を小さくする
ことではありません。


同じ関係を、
わかりやすい形に
整えることです。

比は、電験三種のさまざまな場所に現れる

電験三種では、
比の考え方が何度も登場します。


例えば、理想変圧器では、V1V2=N1N2​​

という関係があります。


電圧比と巻数比は同じです。


比の意味がわかっていれば、
公式をただ暗記するのではなく、

「巻数が2倍なら、電圧も2倍になる」

と、数字の関係を
読み取れるようになります。


比を見たときは、

「どちらが、どちらの何倍なのか」

と考えてみてください。


それだけで、
公式の見え方が
変わってきます。


③ 分数の割り算では、なぜ逆数をかけるのか

38÷34

この式を見た瞬間、

「割る数をひっくり
返して掛けるんだっけ?」

と手が止まることはありませんか。


やり方は覚えている。


でも、なぜひっくり
返すのかは説明できない。


そんな状態になりやすい
計算のひとつです。


割り算は「何個入るか」を求めている

まず、割り算の意味から
考えてみましょう。38÷34

これは、

38​は、34の半分です。

したがって、答えは、12

になります。


では、なぜ計算するときには、
割る数を逆数にするのでしょうか。


割る数を「1」に変えている

分数の割り算は、
次のような大きな分数
として考えられます。3834

このままでは、
分母にも分数があって
計算しにくいですよね。


そこで、分母の 34を1にします。

34に何を掛ければ1になるでしょうか。

その答えが、逆数の 43です。34×43=1

分数全体の値を変えないためには、
分母だけでなく、
分子にも同じ 43を掛けます。38×4334×43

分母は1になるので、38×43=1283​×34​=21​

だけが残ります。


つまり、

割る数をひっくり返して掛ける

というルールは、
突然生まれた魔法では
ありません。


割る数を1にして、
計算しやすい形へ
変えているだけなのです。

電験三種では、
抵抗、電流、
インピーダンス、変圧比など、
分数の割り算を避けて通れません。


手が止まったときは、
「割る数を1にするために、
逆数を掛ける」


と思い出してください。

④ なぜSI接頭語が生まれたのか

k・m・μは、桁につけられた名前

0.00000470.0000047

この数字を見て、

「0はいくつ並んでいるんだ?」

と、指で数えた
経験はありませんか。


電気の世界では、
非常に大きな数から、
非常に小さな数まで扱います。


例えば、0.0000047 F0.0000047 F

を毎回このまま書いていたら、
読みにくいうえに、
0の数を間違えやすくなります。


そこで使われるのが、SI接頭語です。0.0000047 F=4.7×106 F

マイクロを表す μμ は、μ=106

という意味なので、4.7×106 F=4.7 μF

と表せます。


長く並んでいた0が、
μという1文字に
置き換わりました。


つまりSI接頭語とは、
桁の位置につけられた名前
なのです。

電験三種でよく使うSI接頭語
接頭語記号10の累乗
ギガG109109
メガM106106
キロk103103
ミリm10310−3
マイクロμμ10610−6
ナノn10910−9
ピコp101210−12

特に注意したいのが、
メガの MMとミリの mです。M=106
m=103

大文字と小文字が
違うだけですが、
表している量の大きさは
10億倍違います。


試験中に大文字と小文字を
読み間違えると、
計算方法が合っていても
答えが大きくずれてしまいます。


すべての接頭語を、
一度に暗記する必要はありません。


まずは電験三種で特によく使う、M,k,m,μ

から慣れていけば大丈夫です。


0の数を数えるのではなく、
「この桁には、どんな名前がついているか」
と考える。


それだけで、単位換算のミスを減らせます。


⑤ 指数法則

なぜ、掛け算が指数では足し算になるのか

10m×10n=10m+n

掛け算をしているのに、
なぜ指数部分では
足し算になるのでしょうか。


例えば、102×103

を考えてみます。


正の整数の指数では、102は、102=10×1010×10

という意味です。
10を2回掛けています。


一方、103は、103=10×10×1010×10×10

10を3回掛けています。


この2つをつなげると、(10×10)×(10×10×10)(10×10)×(10×10×10)

となります。


10が全部で5個
並んでいるため、102×103=105

です。

指数部分で起きている足し算は、
特別な計算ではありません。2+3=5

と、10を掛けた回数を
合計しているだけなのです。
わかってしまえばなんてことは
ないのですけどね。

割り算では、回数を取り除く

同じように、105÷102

を考えてみましょう。


10を5回掛けたものから、
10を2回掛けた分を取り除きます。

そのため、105÷102=1052

105÷102=103

となります。


掛け算では回数を
合わせるため、指数を足す。


割り算では回数を
取り除くため、指数を引く。


丸暗記すると、
「掛け算は足すんだっけ、掛けるんだっけ」
と迷います。


そんなときは、
「指数は、同じ数を掛けた
回数を表している」
と考えてみてください。


電験三種で頻繁に登場する
科学的表記や単位換算も、
この感覚がわかると
扱いやすくなります。


⑥ マイナスの指数は、何を表しているのか

103

この式を見て、
「10にマイナス3を掛けるのかな?」
と感じてしまう人も
いるかもしれません。


しかし、指数についているマイナスは、
数そのものが負になるという
意味ではありません。


マイナスの指数は、逆数を表している

103=1103

さらに分解すると、103=110×10×10

103=0.001

となります。


別の見方をすると、
1から始めて、10で
3回割っています。

1÷10÷10÷10=0.001

プラスの指数が、
10を掛けながら階段を上る
方向だとすれば、
マイナスの指数は、
10で割りながら階段を
下りる方向です。
103=100010^3=1000102=10010^2=100101=1010^1=10100=110^0=1101=0.110^−1=0.1102=0.0110^−2=0.01103=0.00110^−3=0.001

指数が1つ小さくなるたびに、
数は10分の1になります。

この関係がわかると、m=103m=10^−3μ=106μ=10^−6

が、なぜ小さな数を
表すのかも自然につながります。


「マイナスだから負の数」
と考えるのではなく、

「マイナスの指数は、逆数を表している」

と覚えておきましょう。


この6つがつながると、公式が読みやすくなる

今回扱った内容は、
どれも中学・高校数学の基礎です。


一見すると、
電験三種の応用問題とは
関係のない、地味な計算に
見えるかもしれません。


しかし、並列回路の逆数も、
変圧器の比も、SI接頭語による
単位換算も、すべてこの土台の
上に成り立っています。


分数の意味がわかれば、
逆数に迷いにくくなる。


比の意味がわかれば、
公式から数字の関係を読み取れる。


指数の意味がわかれば、
単位換算で0を数えなくて済む。


公式は、意味のわからない
記号の集まりではありません。


ひとつずつ分解すると、
そこには必ず理由があります。


いきなりすべてを完璧に
理解する必要はありません。


仕事終わりに、ひとつだけでも、

「今日は、なぜひっくり返すのかわかった」

と思えたら、それで十分です。


公式の丸暗記から、意味の理解へ。

今日わかったひとつが、
過去問を自分の力で解くための
土台になっていきます(^^)

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