
数学から離れていた時間を、責めなくていい
「有理数」「無理数」
この言葉を見て、
「なんとなく聞いたことはある」
「中学生のころに習った気がする」
そう思った方も
多いかもしれません。
一方で、
「いまさら、そんな基礎から
やっている時間はない」
と感じた方もいると思います。
仕事が終わったあと、
限られた時間で
電験三種を勉強している。
覚えなければならない公式も、
解かなければならない過去問も、
まだたくさん残っている。
そんな状況で、
「有理数と無理数」まで
戻るのは、遠回りに
見えますよね?
でも、過去問を解いていて、
こんな経験はありませんか?
「公式は覚えた。数字も入れられる。
でも、なぜか答えが合わない」
「この は、掛けるんだっけ、
割るんだっけ」
「参考書には当たり前のように
書いてあるけれど、
その当たり前がわからない」
そして手が止まるたびに、
「やっぱり自分には
数学の才能がないのかな」
と落ち込んでしまう。
でも、これは理解力の
問題ではないと思うんです。
中学・高校で学んだ数学と、
電験三種で使う数学の間に、
まだ埋められていない部分が
あるだけです。
10年、20年と数学から
離れていれば、忘れている
ことがあって当然です。
むしろ、
仕事や家庭のことを抱えながら、
もう一度数学を学び直そうとしている。
それ自体が、十分すごいこと
だと思います。
「なんとなく解ける」が、
いちばん気づきにくい
この数学の空白が厄介なのは、
基礎問題なら
「なんとなく解けてしまう」
ことです。
公式を覚えて、数字を当てはめる。
過去問と同じ形で出題されれば、
正解できることもあります。
そのため、自分がどこを
理解できていないのか、
なかなか気づけません。
ところが、問題の聞かれ方が
少し変わると、
急に手が止まります。
三相交流、力率、交流回路、複素数。
内容が難しくなるにつれて、
それまで見えなかった
数学の空白が表に出てきます。
を掛けるのか、割るのか。
は、そのまま使うのか、
小数に直すのか。
計算途中の小数は、
どこまで残せばよいのか。
理由がわからないまま
手順だけを覚えていると、
少し形を変えられただけで
判断できなくなってしまいます。
だからこのシリーズでは、
一見すると遠回りに見える
「数の性質」から始めます。
学校のテストで○をもらう
ためではありません。
電気の公式の中で、
その数がどのように
働いているのかを理解するため
です。
公式の丸暗記から、意味の理解へ。
その最初の一歩として、
有理数と無理数を一緒に
見ていきましょう。
有理数とは何か
有理数とは、2つの整数を使って、
の形で表せる数です。
ただし、分母の は
0ではない整数とします。
難しく見えるかもしれませんが、
簡単にいえば、
整数どうしの分数で、
正確に表せる数

のことです。
整数も有理数
例えば、
といった整数も有理数です。
整数は分数ではないように見えますが、
と表せます。
そのため、整数も有理数に含まれます。
有限小数も有理数
有限小数とは、途中で終わる小数です。
例えば、
のように、
整数どうしの分数で
正確に表せます。
したがって、有限小数も有理数です。
循環小数も有理数
少し意外なのが、
同じ数字の並びを
繰り返す循環小数です。
例えば、
です。
小数は無限に続いていますが、
という分数で正確に表せます。
また、
のように、
複数の数字を繰り返す
小数も有理数です。
大切なのは、
小数が途中で終わるかどうか
だけではありません。
整数どうしの分数で、
正確に表せるかどうかです。
これが、有理数を
見分けるポイントです。
電験三種では、どこに有理数が現れるのか
電験三種の問題では、
抵抗、電圧、電流、電力などが、
整数や有限小数で
与えられることが多くあります。
例えば、
なら、オームの法則から
有理数と無理数の違いを
知る目的は、試験で
分類問題に答えるため
だけではありません。
電験三種の計算で、
どの数を正確なまま扱えるのか、
どこから近似値になるのか
を判断するためです。
1.正確な値と近似値を区別できる
例えば、
は正確な値です。
は近似値です。
同じように、
は正確な値ですが、
は近似値です。
この違いがわかれば、
計算途中で不用意に
数字を丸めることを防げます。
2.丸めるタイミングを判断できる
近似値を使う場合は、
できるだけ多くの桁を残し、
最終的な答えを出す段階で
丸めるのが基本です。
途中で小数を短く切りすぎると、
計算を進めるたびに
誤差が大きくなります。
「なぜ答えが選択肢と
少しずれるのだろう」
という事故の一部は、
途中の丸め方によって起こります。
3.公式の中の数に、意味があると気づける
やは、公式を難しく
見せるために置かれている
記号ではありません。
には、三相交流の120°という
ベクトルの関係があります。
には、円や回転、周期という
背景があります。
有理数と無理数の違いを
知るだけで、公式のすべてを
作り直せるわけではありません。
しかし、数の性質に加えて、
物理現象や図形の関係まで
理解できれば、
公式を忘れたときにも、
もう一度たどり直すための
道が残ります。
電験三種の計算で与えられる
多くの数値は、
整数や有限小数として扱えます。
この範囲では、分数や小数のまま、
正確に計算を進められる場合が
あります。
しかし、
交流や三相交流へ進むと、
そこへ、、といった
数が入ってきます。
ここから、無理数の
考え方が必要になります。
無理数とは何か

無理数とは、整数どうしの
分数では正確に表せない数です。
小数で表すと、どこまでも続き、
循環小数のような
一定の繰り返しもありません。
電気数学でよく登場する
代表的な無理数には、
などがあります。
すべての平方根が無理数になるわけではない
ここで、ひとつ注意が必要です。
平方根がついている数が、
すべて無理数になる
わけではありません。
例えば、
です。
2や3は整数なので、有理数です。
一方、
は、整数どうしの分数では
正確に表せません。
そのため、 と は無理数です。
つまり、平方根が無理数に
なるかどうかは、
中の数によって変わります。
は、なぜ三相交流に現れるのか

平衡三相交流のY結線では、
線間電圧と相電圧の間に、
という関係があります。
この公式を、
Y結線だから、とにかく を掛ける
と覚えている人も多いと思います。
しかし、 が現れるのは、
単なる決まりではありません。
三相交流では、
3つの相電圧が、
それぞれ120°ずれています。
線間電圧は、120°ずれた
2つの相電圧のベクトル差です。
その関係を図形として計算すると、
結果として が現れます。
つまり、
√3だから三相交流に
使われるのではなく、
120°ずれた電圧の関係を
計算した結果が√3になる
という順番です。
また、
なので、は1より大きい数です。
そのため、Y結線では、
から、線間電圧は相電圧より
大きくなると判断できます。
公式を忘れたときも、
「線間電圧の方が大きくなるはずだ」
という大きさの感覚があれば、
掛けるか割るかを確認する
手がかりになります。
は正確な値、1.732は近似値

ここは、非常に大切なポイントです。
という記号は、
正確な値を表しています。
一方、
の1.732は、途中で数字を
切った近似値です。
したがって、
は正確な形ですが、
は近似値です。
が式の中にあるだけでは、
まだ誤差は発生していません。
を1.732などの小数に
置き換えた時点で、
わずかな丸め誤差が入ります。
そのため、計算では可能な限り、
のように記号のまま残し、
最後に小数へ直す方が安全です。
途中で何度も小数を丸めると、
その小さな誤差が積み重なり、
最終的な答えが選択肢と
合わなくなることがあります。
も、分数では正確に表せない
円周率も無理数です。
と、終わりなく続き、
同じ並びを繰り返しません。
交流では、角周波数を表す、
に登場します。
ここでが現れるのは、
交流の波形を
「1周=ラジアン」
として表しているからです。
が無理数だから
公式に入っているのでは
ありません。
円や回転、周期を扱った結果
としてが現れます。
これも、と同じです。
公式に入っている数には、
その数が現れた理由があります。
また、も記号のままなら正確な値です。
のまま計算している間は、
丸め誤差はありません。

を3.14や3.1416に
置き換えた時点で、
近似値になります。
問題文で使用する値が
指定されている場合は、
その指定に従います。
指定がなければ、
できるだけ途中ではのまま残し、
最後に数値へ直す方が安全です。
なぜ、有理数と無理数を区別する必要があるのか
有理数と無理数の違いを
知る目的は、
試験で分類問題に答えるため
だけではありません。
電験三種の計算で、
どの数を正確なまま扱えるのか、
どこから近似値になるのか
を判断するためです。
1.正確な値と近似値を区別できる
例えば、
は正確な値です。
は近似値です。
同じように、
は正確な値ですが、
は近似値です。
この違いがわかれば、
計算途中で不用意に
数字を丸めることを防げます。
2.丸めるタイミングを判断できる
近似値を使う場合は、
できるだけ多くの桁を残し、
最終的な答えを出す段階で
丸めるのが基本です。
途中で小数を短く切りすぎると、
計算を進めるたびに誤差が
大きくなります。
「なぜ答えが選択肢と
少しずれるのだろう」
ということが起こった時、
そのとこを思い出してください。
3.公式の中の数に、意味があると気づける
やは、
公式を難しく見せるために
置かれている記号では
ありません。
には、
三相交流の120°という
ベクトルの関係があります。
には、
円や回転、周期という
背景があります。
有理数と無理数の違いを
知るだけで、
公式のすべてを
作り直せるわけでは
ありません。
しかし、数の性質に加えて、
物理現象や図形の関係まで
理解できれば、
公式を忘れたときにも、
もう一度たどり直すための
道が残ります。
まとめ
有理数とは、
整数どうしの分数で、正確に表せる数です。
整数、有限小数、循環小数は、
有理数に含まれます。
無理数とは、
整数どうしの分数では、
正確に表せない数です。
などが代表的な無理数です。
ただし、 のように、
有理数になる平方根もあります。
そして、
は記号のままなら正確な値です。
のように、小数へ置き換えた
時点で近似値になります。
ここまで読んでくれて
ありがとうございます。
そして
お疲れ様でした!
長かったですよね。
ですが、基本の理解が
困ったあなたを助けてくれると
信じています。
数学から長く離れていたことを、
恥ずかしく思う必要はありません。
わからないのは、才能がないからではなく、
公式の手前にある説明を
まだ受け取っていないだけです。
いきなり全部を
理解しなくても大丈夫です。
今日、
「 と1.732は、まったく同じ扱いではない」
とわかっただけでも、
確実に一歩進んでいます。
遠回りに見える基礎の学び直しが、
応用問題で崩れないための
土台になります。
公式の丸暗記ではなく、
意味から一緒に
ほどいていきましょう。




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