夜22時過ぎ、残業を終えて
クタクタの状態で
自室の机に向かう。
過去問を開いたものの、
真っ白なノートを前に
ピタッと止まってしまう。
職場では中堅として
後輩を指導する立場なのに、
この机の上では
手が止まっている自分。

その見えない焦燥感と
不安に耐えられなくて、
気づけば参考書の解説を
ただそのままノートに
書き写してはいないでしょうか。
ノートが文字で埋まることで、
「今日も一応勉強した」と
少しホッとして眠りにつく。
かつての私が、まさにその
ループにはまっていました。
でも、頭が働いていない状態での
丸写しは、残念ながら本番の1点には
なかなか繋がりません。

限られた時間だからこそ、
今夜からその重い負担を
少し手放して、
最も実戦的な
「1行目だけを自力で組み立てる」
方法に切り替えて
みませんか。
仕事終わりで脳の馬力が
残っていないとき、
複雑な数式を
組み立てる思考は
どうしても
止まってしまいます。
しかし、疲れた時特有の
「今日も何も進まなかった」
という罪悪感は、
とても苦しいものです。
だからこそ、
一番心理的なハードルが低い
「解説を書き写すこと」で、
無意識に安心感を
得ようとしてしまう。
「書き写していれば、
いつか理解できるはず」
そう思いたくなる気持ちは
痛いほどよく分かります。

けれど、試験会場の席には、
当然ですが解説はありません。
手が止まる不安を文字で
埋めても、初見の問題を
前にしたときの
「どう解き始めていいか
分からない」という
根本的なもどかしさは、
どれだけ時間を
かけて書き写しても、
解消されにくいのです。
電験三種の
計算問題において、
本当に合否を
切り分けているのは
どこでしょうか。
それは、長い計算プロセスの
途中ではありません。
問題文の1行目、
2行目を読んだ瞬間に、
「どの基本構造やルールに落とし込むか」
を決める、最初の1行目の式を
組み立てられるかどうか。
ここが全てです。
2行目以降に展開される
分数の整理や
二次方程式の展開、
√3の単純な掛け算などは、
少し言い方を変えれば、
ただの「計算の作業」です。
本番で私たちが手を止めて
焦ってしまうのは、
計算ができないからではなく、
スタートの回路図や最初の式が、
自力で描けないからです。

頭が働かない夜に
やるべきなのは、
解説の計算パートを
なぞることではなく、
最初の1行目を自力で導き出す
「翻訳の練習」だけです。
やることは非常にシンプルです。
今日からノートの使い方を、
このように変えてみてください。
- 過去問の問題文を読み、
解説を完全に閉じる。 - 「最初の1行目の式
(または等価回路の絵)」だけを、
自力でノートに書いてみる。 - 1行目が書けたら
(あるいは3分考えて出なければ)、
そこで一度ストップする。 - 解説を開き、「自分の1行目」と
「解説の1行目」の考え方が
合っているかだけを確認する。
合っていれば、
2行目以降の計算は
わざわざノートに書かずに
電卓を叩くか、
目で追うだけで処理して
構いません。

もし間違っていたなら、
なぜそのルールに
気づけなかったのか、
「問題文の条件の見落とし」
(初期設定の読み違え)
だけを、赤ペンで一言
メモしておきます。
綺麗なノートを作る
必要はありません。
社会人に必要なのは、
あれもこれもと
詰め込むことではなく、
今夜の負担を
最小限に減らして、
本番の得点に直結する
足場だけを確実に
固める「引き算」です。
仕事終わりの15分、
重たい解説を書き写す負担は、
もう手放して大丈夫です。
最初の1行だけを、
自分の力で考えてみる。
そのステップに変えるだけで、
夜の過去問演習の質は、
驚くほど軽やかに、
そして確実に変わっていきます。




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