なぜ?02 なぜ電圧が大きいと電流も大きくなるの?

前の記事では、

電圧によって電界が生まれ、
電子が動くことで電流が流れる

と説明しました。


では、電圧を大きくすると、
なぜ電流も大きくなるのでしょうか。


オームの法則では、

I = V ÷ R

と習います。


この式を丸暗記すると、

「電圧は上だっけ、下だっけ」
「掛けるんだっけ、割るんだっけ」

と迷いやすくなります。


今回は公式を覚える前に、
電線の中で何が起きているのかを
考えてみましょう。


最初に知っておきたい条件

電圧を大きくすると
電流も大きくなるのは、


抵抗値が一定とみなせる場合

です。


同じ抵抗器でも、
温度が大きく変わると
抵抗値が変化すること
があります。



また、
ダイオードのように、
電圧と電流が単純な
比例関係にならない
部品もあります。


まずは電験3種の基本として、

同じ抵抗に加える電圧だけを変える

場合を考えます。


電圧は「電気を動かすもとになる差」

電圧とは、
力そのものではありません。


電気を動かすもとになる
「電位の差」です。


同じ長さの坂道を
想像してみてください。


高低差が小さければ、
緩やかな坂になります。



高低差が大きければ、
急な坂になります。


電気も似ています。


同じ抵抗に、
より大きな電圧を加えると、
内部に生じる電界も強くなります。

電界が強くなると、
電子を一定方向へ
動かす働きも強くなります。


大きくなるのは電子の「平均的な移動」

電線の中にある電子は、
もともとバラバラな方向へ
動いています。


電圧が加わると、
その動きに一定方向への
わずかな偏りが生まれます。


この平均的な移動を
「ドリフト」といいます。


電圧を大きくすると、
電子のドリフト速度も
大きくなります。


すると、
電線のある断面を
1秒間に通過する
電荷の量が増えます。


これが、

電流が大きくなる

ということです。


電子そのものが
新しく増える
わけではありません。


もともと電線の中にいる電子の、
一定方向への平均的な移動が
大きくなるのです。


電流は「1秒間に通過する電荷の量」

電流は、
電子が動いているか
どうかだけを
表すものではありません。


ある場所を一定時間に、
どれだけの電荷が
通過したかを表しています。


同じ道でも、
人がゆっくり歩けば、
1秒間に通過する人数は
少なくなります。


歩く速さが上がれば、
同じ場所を1秒間に
通過する人数は多くなります。


電流も、これに近いイメージです。


電圧が大きくなると
電子の平均的な移動が大きくなり、
同じ時間に通過する電荷が増えます。


その結果、
電流が大きくなります。


なぜ電子は加速し続けないの?

ここで、
もう一つ疑問が出てきます。


電界が電子を動かすなら、
電子は時間とともに、
どんどん速くなり続けるのでしょうか。


実際には、そうなりません。


金属の中を移動する電子は、
金属を構成する
原子の並びや振動などによって、
何度も進む向きを変えられます。


電界によって動かされても、
その動きが妨げられるため、
電子は際限なく加速し続けません。

この電流の流れにくさを表すのが、
抵抗です。

  • 電圧は、電流を流そうとする
  • 抵抗は、電流を流れにくくする
  • その結果として、電流の大きさが決まる

この関係を表したものが、
オームの法則です。


オームの法則を文章で読んでみよう

オームの法則は、

I = V ÷ R

です。


これを文章にすると、

電流は、
電圧が大きいほど大きくなり、
抵抗が大きいほど小さくなる

と読めます。


例えば、
抵抗が10Ωで一定の場合を考えます。


電圧が10Vなら、

I = 10 ÷ 10 = 1A


電圧を20Vにすると、

I = 20 ÷ 10 = 2A


抵抗は変わっていません。


電圧を2倍にしたため、
電流も2倍になりました。


電験3種では、計算前に予想する

問題を解くときは、
すぐに公式へ数字を入れる前に、
次のことを確認してみてください。

  • 電圧は大きくなったのか
  • 抵抗は変わっていないのか
  • 電流は大きくなるはずか、小さくなるはずか

計算前に答えの方向を
予想できれば、

掛け算と割り算の間違いや、
数字の入れ間違いに
気づきやすくなります。


まとめ

抵抗値が一定の場合、
電圧を大きくすると
電界が強くなります。


すると、



電子の一定方向への
平均的な移動が大きくなり、
同じ時間に通過する
電荷の量が増えます。


その結果、
電流が大きくなります。


オームの法則は、
ただ数字を入れるための
式ではありません。


電圧が流れを生み、
抵抗がその流れを抑え、
電流の大きさが決まる

という関係を、
一つの式にまとめたものなのです。

次の「なぜ?」へ

次は、

なぜ?03 
なぜ抵抗が大きいと
電流は小さくなるの?


を考えます。


電線の中で電子の移動を
妨げているものがわかると、
「抵抗」という言葉の
意味がさらに見えてきます。

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