参考書を開くと、
当たり前のように出てくる
言葉があります。
「回路に電流が流れる」
でも、よく考えると
不思議ではありませんか?

電線の中で、何が動いているのか。
電池をつなぐと、なぜ電球が光るのか。
ここが曖昧なままだと、
オームの法則も、
V = R × I
という3文字の暗記に
なってしまいます。
今回は、電験3種の最初の土台となる
「なぜ電流は流れるのか」を、
電線の中までのぞくように
考えてみましょう。
そもそも、電流とは何か
電流とは、簡単に言えば、
電荷が一定の方向へ流れること
です。
正確には、ある場所を
1秒間にどれだけの電荷が
通過したかを表しています。
金属の電線では、
主に「自由電子」と
呼ばれる電子が、
この電荷を運びます。
ここで大切なのは、
電池をつないだ瞬間に、
電池から電子が一斉に
飛び出してくるわけではない
ことです。
電池をつなぐ前から、
電線の中にはたくさんの
自由電子が存在しています。
電子は、止まっているわけではない
電池をつないでいないときも、
電子は金属の中で動いています。
ただし、その向きはバラバラです。

右へ動く電子もあれば、
左へ動く電子もいる。
全体として見ると、
特定の方向への移動が
打ち消し合います。
そのため、電流としての
まとまった流れは生まれません。
電池をつないで回路を閉じると、
この状態が変わります。
電圧が「電気の坂道」をつくる
電池には、
プラス側とマイナス側があります。
この2点の電位の差が「電圧」です。
電圧がかかると電線の中に
電界が生まれ、
バラバラに動いていた電子に、
わずかな方向性が加わります。
電子のランダムな動きが
消えるわけではありません。
その動きに、
一定方向への
ゆっくりとした移動が
加わるのです。
このまとまった移動を
「ドリフト」といい、
電荷の流れとして
観測したものが電流です。
つまり、
電圧によって電界が生まれ、
電界によって電子が動く。
その電荷の流れが電流になる。

という関係です。
坂道のボールで考えてみよう
電圧は、電気の世界に作られた
「高低差」と考えると
イメージしやすくなります。
平らな場所にボールを置いても、
決まった方向には転がりません。
しかし、
高低差のある坂道に置けば、
ボールは一方向へ転がり始めます。
電気も同じように、
電位に差があることで
流れが生まれます。

ただし、この例えは
「差があるから流れる」という
関係を表したものです。
電子はマイナスの電荷を持つため、
実際の電子の向きには注意が必要です。
電子が遅いのに、なぜ電球はすぐ光るの?
ここで、もう一つ疑問が出てきます。
電子がゆっくり
移動しているなら、
離れた場所にある電球が
すぐ光るのはなぜでしょうか。
それは、
電池から出た1個の電子が、
電球まで一気に
走っているからではありません。
スイッチを入れると、
電界の変化が回路に沿って
非常に速く伝わります。
そのため、
電線の各場所にすでに
存在する電子が、
ほぼ同時に動き始めます。

水で満たされたホースを押すと、
入口の水が出口まで走り抜けなくても、
出口側の水がすぐ動きます。
イメージとしては、
これに近いものです。
電子そのものは遅くても、
電子を動かし始める合図は速く伝わる
ここを分けて考えることが大切です。
電子と電流は、向きが反対
金属の電線では、
電子は電池のマイナス側から
プラス側へ移動します。
一方、電流の向きは
「プラスの電荷が動く向き」
として決められています。
そのため、電池の外側の回路では、
- 電子:マイナス側からプラス側
- 電流:プラス側からマイナス側
となります。
これは、
電流の向きが決められたあとに、
電子の存在と動きが明らかに
なったためです。
電験3種の回路図に
描かれる矢印は、
基本的にこの
「電流の向き」を表します。
オームの法則につなげてみよう
抵抗が一定の回路では、
電圧を大きくすると、
電荷を動かす働きが強くなり、
電流も大きくなります。
一方、
電子が進みにくい材料や部品では、
流れる電流は小さくなります。
この流れにくさを表すのが抵抗です。
- 電圧:電流を流そうとする電位の差
- 電流:流れる電荷の量
- 抵抗:電流の流れにくさ
この3つの関係を表したものが、
V = R × I
というオームの法則です。
まとめ
電流が流れるのは、
電池から電子が
突然飛び出すからではありません。

電線の中には、
初めから自由電子が
存在しています。
回路を閉じて電圧をかけると、
電線の中に電界が生まれます。
その電界によって
自由電子に一定方向への
動きが加わり、
電荷の流れが生まれます。
それが電流です。
ここまでわかると、
オームの法則は
単なる文字の並びではなく、
電圧が電流を生み、
抵抗がその流れを妨げる
という電気の現象として
読めるようになります。
次の「なぜ?」へ
次は、
なぜ?02
なぜ電圧が大きいと電流も大きくなるの?
を考えます。
電圧・電流・抵抗の関係を、
オームの法則を暗記する前に、
もう一段深く見ていきましょう。



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