STEP2|直流回路を読む
Lesson 1|電圧・電流・抵抗|回路図の3つの主役を見分ける
回路図を開いた瞬間、線と記号ばかりに見える。
電圧・電流・抵抗の説明を読んでも、
結局どれが何をしているのか分からない。
そんな経験はありませんか。
直流回路で最初に必要なのは、
公式を増やすことではありません。
回路の中にいる三つの主役を見分けることです。
- 電圧は、電気を動かすための「差」
- 電流は、回路を実際に流れている量
- 抵抗は、電流の流れにくさ
まずは、この三つが同じものではないと分かれば十分です。
電気は「高さの差」があるから動く
水は、高い場所から低い場所へ流れます。
両側の高さが同じなら、水は流れ続けません。
電気でも、二つの点の状態に差があると電荷が動きます。
この電位の差を、電圧といいます。
V=\text{2点間の電位差}電圧は一つの点だけに存在する量ではなく、
二つの点の差です。
そのため、電圧計は測りたい部分の両端へ並列につなぎます。
ここで大切なのは、
「電圧が流れる」と考えないことです。
流れるのは電流です。電圧は、
流れを生み出す差です。

電流は「ある時間に通過した電荷の量」
導線の中を電荷が移動すると、電流が流れます。
I=\frac{Q}{t}電流 I は、時間 t の間に通過した電荷 Q の量を表します。
1 Aは、1秒間に1 Cの電荷が通過する大きさです。
1\,\mathrm{A}=1\,\mathrm{C/s}
電流計は、その場所を通過する電流を測るため、
回路へ直列につなぎます。
水の量を測る計器を、
水の通り道へ入れるイメージです。

なお、回路図で使う電流の向きは、
正電荷が動く向きとして決められています。
金属中の電子の移動方向とは反対ですが、
計算では回路図に示した電流方向を基準にすれば大丈夫です。
抵抗は、電流を消すものではない
抵抗は、電流の流れにくさを表します。
単位はオームです。
R\ [\mathrm{\Omega}]抵抗があると電流は小さくなりますが、
抵抗の手前で電流が消えるわけではありません。
一本道の直列回路なら、
抵抗の前後を流れる電流は同じです。
抵抗では、電気エネルギーの一部が熱などへ変わります。
「電流を使い切る」のではなく、
「電圧が下がり、エネルギーが別の形へ移る」と考えます。
計算する前に、三つの量を動かす
同じ抵抗へ加える電圧を大きくすると、
電流はどうなるでしょうか。
電気を動かす差が大きくなり、
流れにくさが同じなら、電流は大きくなります。
反対に、電圧を同じにして抵抗を大きくすると、
電流は小さくなります。
まだ公式を使わなくても、
- 電圧を上げる → 電流は増える
- 抵抗を上げる → 電流は減る
と予想できます。
この予想が、次のLessonで扱うオームの法則の形になります。

小さな回路で確認する
10 Vの電源と、
5 Ωの抵抗をつないだ回路を考えます。
流れる電流は2 Aです。
ここで抵抗を10 Ωへ大きくすると、
電流は1 Aになります。
数字を覚える必要はありません。
「抵抗を2倍にしたら、
電流は半分になった」と変化を見ます。
STEP1で学んだ反比例が、
回路の現象として現れています。
はるの気づき
私は長い間、V・I・Rを公式の中の文字として見ていました。
だから式を忘れると、
三つとも一緒に分からなくなりました。
でも、本当に必要だったのは暗記量ではありませんでした。
「何が差で、何が流れで、何が邪魔をするのか」
この役割へ戻れるようになると、
公式を忘れても考え直せます。
分からない場所まで戻ることは後退ではなく、
回路を読み直すためのつなぎ直しです。
電験3種では、ここを確認する
問題文を読んだら、
最初に次の三つへ印を付けます。
- 与えられた電圧
- 流れている、または求めたい電流
- 電流の通り道にある抵抗
次に、「一つを変えたら、
答えは増えるか減るか」を予想します。
選択肢問題では、この予想だけで不自然な答えを除けることがあります。

まとめ
電圧は二点間の電位の差。
電流は一定時間に通過する電荷の量。
抵抗は電流の流れにくさです。
公式を見る前に、三つの役割を言葉にしてください。
次は、この関係を一つの式にしたオームの法則を扱います。
V=IRを暗記せず、
三つの量を実際に動かして読みます。
EXERCISE
読んだ直後に、6問だけ。
最初の3問は、計算しません。
頭の中で答えてから、選んでください。
問1予想 ★★☆
「回路のこの点の電圧は 3 V です」という言い方は、正しいでしょうか。
- ①正しい
- ②どの点を基準にするか決めないと言えない
- ③電流が分からないと言えない
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② どの点を基準にするか決めないと言えない
電圧は、一つの点だけに存在する量ではありません。
二つの点の、電位の差です。
水面の高さと同じで、どこを基準にするかを決めないと数字になりません。
電圧計を、測りたい部分の両端に並列でつなぐのは、このためです。二点を挟まなければ、差は測れません。
問2予想 ★☆☆
一本道の直列回路です。抵抗を通ったあとの電流は、通る前と比べてどうなりますか。
- ①小さくなる
- ②大きくなる
- ③変わらない
- ④抵抗の値による
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③ 変わらない
抵抗があると電流は小さくなりますが、それは回路全体の話です。
抵抗の手前で電流が消えるわけではありません。
一本道なら、どこで測っても同じ量が通っています。減るのは電圧の方です。
問3言葉を選ぶ ★☆☆
「ある時間の間に通過した電荷の量」を表しているのは、次のどれですか。
- ①電圧 V[V]
- ②電流 I[A]
- ③抵抗 R[Ω]
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② 電流 I[A]
I = Q / t 時間 t の間に通過した電荷 Q の量です。
1 A は、1秒間に 1 C の電荷が通過する大きさ。1 A = 1 C/s
電流計を直列につなぐのは、その場所を通過する量を測るからです。水の量を測る計器を、水の通り道へ入れるのと同じ。電圧計が並列、電流計が直列——役割の違いが、つなぎ方の違いになっています。
問4まちがい探し ★★☆
次の説明には誤りがあります。どこでしょうか。
- ①「電池から出て」という電流の向きの説明
- ②「電流が使い切られる」という部分
- ③「抵抗を通る」という表現
- ④誤りはない。説明は正しい
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誤り:「電流が使い切られる」という部分
抵抗で起きているのは、電気エネルギーの一部が熱などへ変わることです。
電流そのものが減るのではありません。
「電流を使い切る」ではなく、「電圧が下がり、エネルギーが別の形へ移る」と考えます。
この誤解を持ったままだと、直列回路で「2つ目の抵抗には少ししか電流が来ない」と考えてしまい、この先ずっと答えが合わなくなります。
問5計算 ★☆☆
2 A の電流が 3 秒間流れました。この間に通過した電荷は何 C ですか。
- ①6 C
- ②1.5 C
- ③5 C
- ④0.67 C
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6 C
I = Q/t を Q について並べ替えると Q = It
Q = 2 × 3 = 6 C
式を覚えていなくても作れます。1 A は「1秒に 1 C」なので、2 A なら「1秒に 2 C」。それが3秒で 6 C。単位の意味から式が出てきます。
問6計算(変化を読む)★★☆
10 V の電源に 5 Ω の抵抗をつなぐと、2 A が流れます。
この抵抗を 20 Ω に取り替えると、電流は何 A になりますか。
- ①0.5 A
- ②1 A
- ③8 A
- ④40 A
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0.5 A
予想:電圧は同じで、流れにくさが 4倍。だから電流は減ります。
抵抗が 5 Ω → 20 Ω で 4倍なので、電流は 1/4。
2 × 1/4 = 0.5 A
数字を覚える必要はありません。「抵抗を4倍にしたら、電流は1/4になった」という変化を見てください。STEP1で学んだ反比例が、回路の現象として現れています。この予想が、次のLessonのオームの法則の形になります。
6問、おつかれさまでした。
問1〜問4が答えられたなら、この記事は身についています。
迷ったところがあれば、その見出しにだけ戻ってください。全部を読み直す必要はありません。
次のLessonへ
次はSTEP2-2へ進みます。



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