STEP2|直流回路を読む
Lesson 4|分圧と分流|公式を使う前に「どちらへ多く配られるか」を予想する
分圧と分流は名前が似ています。
しかも分流では、求めたい側と反対の抵抗が分子に現れるため、
公式だけで覚えると混乱しやすくなります。
先に結論を言います。
- 直列では、大きい抵抗へ大きい電圧がかかる
- 並列では、小さい抵抗へ大きい電流が流れる
この対照を理解してから、式を作ります。
分圧は、直列回路の電圧配分

直列回路では、すべての抵抗へ同じ電流 I が流れます。
\displaystyle V_1=IR_1,\qquad V_2=IR_2同じ電流を掛けるため、
抵抗が大きいほど電圧も大きくなります。
全電圧を V とすると、
\displaystyle I=\frac{V}{R_1+R_2}したがって、
V_1=V\frac{R_1}{R_1+R_2} V_2=V\frac{R_2}{R_1+R_2}分子には、電圧を求めたい抵抗が入ります。
分流は、並列回路の電流配分

並列回路では、各抵抗へ同じ電圧 V がかかります。
\displaystyle I_1=\frac{V}{R_1},\qquad I_2=\frac{V}{R_2}同じ電圧なら、抵抗が小さい枝へ大きい電流が流れます。
全電流を I とすると、
I_1=I\frac{R_2}{R_1+R_2} I_2=I\frac{R_1}{R_1+R_2}求めたい枝と反対側の抵抗が分子に見えます。
これは暗記上のいたずらではありません。
抵抗の小さい側ほど電流が大きくなるという逆の関係を、
二抵抗の比で表した結果です。
例題 分圧

20 Vの電源へ、
2 Ωと8 Ωを直列接続します。
8 Ωは2 Ωの4倍なので、
8 Ωへかかる電圧も4倍になるはずです。
4 Vと16 Vを足すと、
電源電圧20 Vへ戻ります。
例題 分流

全電流10 Aが、
2 Ωと8 Ωの並列回路へ流れ込みます。
2 Ωの枝は8 Ωの枝より流れやすいため、
多くの電流が流れるはずです。
8 Aと2 Aを足すと、
全電流10 Aへ戻ります。
比で考えると、公式を忘れても戻れる

分圧では、
V_1:V_2=R_1:R_2分流では、
I_1:I_2=R_2:R_1です。
式を忘れたときは、「共通なのは電流か、
電圧か」を確認します。
- 直列は電流が共通 → V = I × R より電圧は抵抗に比例
- 並列は電圧が共通 → I = V ÷ R より電流は抵抗に反比例
ここから式を作り直せます。
はるの気づき
分流公式の抵抗が逆になることを、
私は何度も覚え直しました。
でも、覚え直すたびにまた忘れました。
変わったのは、「狭い道には少なく、
広い道には多く流れる」と先に絵で考えたときです。
答えの大小を先に決めれば、
分子を取り違えた式にも気づけます。
丸暗記をやめるとは、
何も覚えないことではありません。
忘れたときに戻れる理由を一緒に持つことです。
電験3種では、ここを確認する
- 分圧は直列、分流は並列
- 直列では抵抗が大きい側の電圧が大きい
- 並列では抵抗が小さい側の電流が大きい
- 分けた電圧または電流を足すと全体へ戻る
まとめ
分圧と分流は、比の公式を二つ覚える単元ではありません。
同じ電流が流れる直列では、
電圧は抵抗に比例します。
同じ電圧がかかる並列では、
電流は抵抗に反比例します。
次は、分岐と複数のループを持つ回路を、
キルヒホッフの二つの約束から式へ変えます。
EXERCISE
読んだ直後に、6問だけ。
最初の3問は、計算しません。
頭の中で答えてから、選んでください。
問1予想 ★☆☆
10 Ω と 40 Ω を直列につなぎました。大きい電圧がかかるのはどちらですか。
- ①10 Ω の方
- ②40 Ω の方
- ③同じ
- ④電源の大きさによる
答えを見る
② 40 Ω の方
直列では、どちらの抵抗にも同じ電流が流れます。
同じ電流を掛けるのだから、抵抗が大きいほど電圧も大きくなります。
直列=大きい抵抗に大きい電圧。この一行を持っておくと、分圧の式を逆に使ったときにその場で気づけます。
問2予想 ★★☆
今度は 10 Ω と 40 Ω を並列にしました。電流が多く流れるのはどちらですか。
- ①10 Ω の方
- ②40 Ω の方
- ③同じ
- ④電源の大きさによる
答えを見る
① 10 Ω の方
並列では、どちらにも同じ電圧がかかります。
同じ電圧なら、通りやすい方に多く流れます。
並列=小さい抵抗に大きい電流。問1と向きが逆になっているのが要です。狭い道には少なく、広い道には多く——先に絵で考えてください。
問3式を選ぶ ★★☆
R₁ と R₂ を直列につなぎ、全体に V を加えました。R₁ にかかる電圧を求める式はどれですか。
- ①V × R₁/(R₁+R₂)
- ②V × R₂/(R₁+R₂)
- ③V × (R₁+R₂)/R₁
答えを見る
① V × R₁/(R₁+R₂)
分圧では、分子に「電圧を求めたい抵抗」が入ります。
「全体のうち、自分が何割を担当しているか」という比です。
②は R₂ にかかる電圧の式。分圧でいちばん多い失点が、この分子の取り違えです。
問4まちがい探し ★★☆
次の解答には誤りがあります。どこでしょうか。
「20 Ω にかかる電圧は 100 × 30/(20+30) = 60 V」
- ①分子に相手の抵抗(30)を入れている
- ②分母を (20+30) にしているのが誤り
- ③100 を掛けているのが誤り
- ④誤りはない。計算は合っている
答えを見る
誤り:分子に相手の抵抗(30)を入れている
正しくは 100 × 20/50 = 40 V
気づき方:20 Ω は小さい方なのに、答えが半分より大きい 60 V になっている。
直列では、大きい抵抗(30 Ω)の方に大きい電圧がかかるはずです。
40 V と 60 V を足すと 100 V。分けた電圧を足すと全体へ戻るかも必ず確認してください。ここが合っていても、割り当てが逆なら誤りです。
問5計算 ★☆☆
30 Ω と 20 Ω を直列につなぎ、100 V を加えました。20 Ω にかかる電圧は何 V ですか。
- ①40 V
- ②60 V
- ③50 V
- ④20 V
答えを見る
40 V
予想:20 Ω は小さい方なので、50 V より小さくなるはず。
100 × 20/(30+20) = 100 × 0.4 = 40 V
検算:30 Ω 側は 60 V。合計 100 V で電源へ戻ります ✓
問6計算(電験3種の形)★★★
2 Ω と 3 Ω を並列にし、全体に 10 A が流れ込んでいます。
2 Ω に流れる電流は何 A ですか。
- ①6 A
- ②4 A
- ③5 A
- ④10 A
答えを見る
6 A
予想:2 Ω は流れやすい方なので、半分の 5 A より多いはず。
10 × 3/(2+3) = 10 × 0.6 = 6 A
検算:3 Ω 側は 4 A。合計 10 A で全電流へ戻ります ✓
分流では、求めたい枝と反対側の抵抗が分子に現れます。これは暗記上のいたずらではありません。
比で書くと、はっきりします。
分圧は V₁ : V₂ = R₁ : R₂(比例)
分流は I₁ : I₂ = R₂ : R₁(反比例)
式を忘れたら、「共通なのは電流か、電圧か」に戻ってください。直列は電流が共通だから V=IR で電圧は抵抗に比例。並列は電圧が共通だから I=V/R で電流は抵抗に反比例。ここから式を作り直せます。
6問、おつかれさまでした。
問1〜問4が答えられたなら、この記事は身についています。
迷ったところがあれば、その見出しにだけ戻ってください。全部を読み直す必要はありません。
次のLessonへ
次はSTEP2-5へ進みます。



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