STEP2|直流回路を読む
Lesson 2|オームの法則|V=IRを覚える前に、3つの量を動かす
V=IRは覚えている。
それなのに、Iを求める問題になると式の形に迷う。
これは、公式を忘れたからではありません。
三つの量がどのように動くかと、
式の形がまだつながっていないからです。
オームの法則は、電圧・電流・抵抗の関係を表します。
V=IRこの一行を三つの公式として覚える必要はありません。
まず、回路の変化を予想し、
そのあとで求めたい文字を一人にします。
電圧を2倍にすると、電流はどうなるか

抵抗を変えずに電圧を2倍にします。
流れを生み出す差が2倍になり、
流れにくさは同じです。
したがって、電流も2倍になります。
I\propto V\qquad(R\text{が一定})電流は電圧に比例します。
抵抗を2倍にすると、電流はどうなるか

今度は電圧を変えずに、抵抗を2倍にします。
流れを生み出す差は同じで、
流れにくさだけが2倍になります。
電流は半分です。
I\propto\frac{1}{R}\qquad(V\text{が一定})電流は抵抗に反比例します。
この二つを一つにまとめた形が、
I=\frac{V}{R}です。
STEP1で学んだ比例・反比例が、
そのまま電気の現象になっています。
式変形は「求めたい文字を一人にする」

元の式は、
V=IR電流 I を求めるなら、
両辺を R で割ります。
抵抗 R を求めるなら、
両辺を I で割ります。
「Vは上、IとRは下」と場所で覚えるのではなく、
等式の両側へ同じ操作をします。
単位も式の一部として読む
オームの法則では、
1\,\mathrm{V}=1\,\mathrm{A}\times1\,\mathrm{\Omega}が成り立ちます。
電流を求めるときは、
\mathrm{A}=\frac{\mathrm{V}}{\mathrm{\Omega}}です。
計算後に単位がAにならなければ、
式の選び方や単位換算を確認します。
例題 答えを予想してから計算する

120 Vの電源へ、
30 Ωの抵抗を接続します。
まず、電流は何十Aではなく、
数A程度になりそうだと予想します。
次に、抵抗を60 Ωへ変えます。
抵抗は2倍なので、
電流は半分の2 Aになるはずです。
予想と計算結果が一致しました。
電圧と電流のグラフ

抵抗が一定なら、電圧を横軸、
電流を縦軸にしたグラフは原点を通る直線です。
グラフの傾きは、抵抗 R の逆数(1 ÷ R)です。
抵抗が小さいほど傾きは大きくなり、
同じ電圧で多くの電流が流れます。
グラフは飾りではありません。
回路の流れやすさを、
線の傾きとして見ているのです。
はるの気づき
以前の私は、V=IRの三角形を思い出せるかどうかで勝負していました。
思い出せないと、その時点で問題を諦めていました。
でも、抵抗を増やせば電流は減ると分かっていれば、
I = V × R はおかしいと気づけます。
公式を完璧に保存するより、
式が現象と合っているかを確かめる方が強いのです。
公式を覚える前に、公式を動かす。
これが、オームの法則を自分で戻せる形にする方法です。
電験3種では、ここを確認する
- どの部分にかかる電圧か
- どの抵抗を流れる電流か
- V・A・Ωの単位がそろっているか
- 抵抗を増やしたとき、答えが増える式になっていないか
まとめ
オームの法則は、三つの記号を並べた暗記式ではありません。
- 電圧を増やすと電流は増える
- 抵抗を増やすと電流は減る
- 求めたい文字は、等式の両側へ同じ操作をして一人にする
次は、抵抗が一つではなく複数になったとき、
電流と電圧がどう分かれるかを見ます。
EXERCISE
読んだ直後に、6問だけ。
最初の3問は、計算しません。
頭の中で答えてから、選んでください。
問1予想 ★☆☆
電圧を変えずに、抵抗だけを3倍にしました。電流はどうなりますか。
- ①3倍
- ②1/3
- ③変わらない
- ④これだけでは判断できない
答えを見る
② 1/3
流れを生み出す差は同じままです。
流れにくさだけが3倍になりました。
ここで I = V/R を思い出した人も正解です。ただ、式を思い出す前にこの向きが言えるかが、この記事の本題でした。
問2予想 ★★☆
電圧を2倍にして、同時に抵抗も2倍にしました。電流はどうなりますか。
- ①4倍
- ②2倍
- ③変わらない
- ④1/4
答えを見る
③ 変わらない
押す力が2倍になりました。
でも、通りにくさも2倍になっています。
割り算の分子と分母が両方2倍なので、答えは変わりません。
2つ同時に動いたときは、片方ずつ考える——これが式で考える意味です。
問3式を選ぶ ★☆☆
20 Ω の抵抗に、3 A の電流が流れています。この抵抗にかかる電圧を求めたい。使う式はどれですか。
- ①V = IR
- ②I = V/R
- ③R = V/I
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① V = IR (V = 3 × 20 = 60 V)
求めたいのは V です。だから、V が左辺に一人でいる式を選びます。
元の式 V = IR は、すでにその形。変形は要りません。
「Vは上、IとRは下」と三角形の位置で覚えていると、ここで手が止まります。式を3つ暗記するのではなく、求めたい文字を一人にする——それだけです。
問4まちがい探し ★★☆
次の解答には誤りがあります。答えを見ただけで気づけるかを試してください。
この抵抗を 50 Ω に取り替えたときの電流を求める。
「抵抗が2倍になったので、I = 100 × 50 = 5000 A」
- ①抵抗を2倍にした、という読み取りが誤り
- ②割るべきところを、かけている
- ③抵抗が2倍なら電流も2倍が正しい
- ④誤りはない。計算は合っている
答えを見る
誤り:割るべきところを、かけている(正しくは I = 100 ÷ 50 = 2 A)
取り替える前は I = 100 ÷ 25 = 4 A でした。
抵抗を増やしたのに、電流が 4 A から 5000 A に増えている。
この時点で、計算を検算しなくても間違いだと分かります。
単位でも確認できます。V × Ω は A になりません。A になるのは V ÷ Ω です。 公式を完璧に保存できなくても、「増えるはずがない」と気づけるほうが、試験では強いのです。
問5計算 ★☆☆
6 V の電池に、12 Ω の豆電球をつなぎました。流れる電流は何 A ですか。
- ①0.5 A
- ②2 A
- ③18 A
- ④72 A
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0.5 A
予想:6 を 12 で割るので、1 より小さくなります。
I = V / R = 6 ÷ 12 = 0.5 A 単位:V ÷ Ω = A ✓
「1より小さい」と先に決めておくと、答えが 2 A や 72 A になったときに、その場で気づけます。予想は、検算の代わりになります。
問6計算(電験3種の形)★★☆
ある抵抗に 100 V を加えたところ、4 A が流れました。
同じ抵抗に 150 V を加えると、電流は何 A になりますか。
- ①6 A
- ②4.5 A
- ③8 A
- ④2.7 A
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6 A
解き方1(比例の道):電圧が1.5倍。抵抗は同じ。電流も1.5倍で 4 × 1.5 = 6 A
解き方2(Rを出す道):R = 100 ÷ 4 = 25 Ω → I = 150 ÷ 25 = 6 A
どちらでも同じ答えになります。ただ、比例が見えていると、抵抗を求める1手を省けます。試験の1問あたり数分という時間の中では、この差が効いてきます。
6問、おつかれさまでした。
問1〜問4が答えられたなら、この記事は身についています。
迷ったところがあれば、その見出しにだけ戻ってください。全部を読み直す必要はありません。
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次はSTEP2-3へ進みます。



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