Lesson3 数式は「文字」ではなく「文章」です
数式を見ると、
頭が止まってしまう。
アルファベットや
記号が並んだ瞬間に、
「この公式も覚えなければ」
「どの数字を入れればいいんだろう」
と焦ってしまう。
そんな経験はありませんか。
でも、数式は意味のわからない
暗号ではありません。
数式とは、電気の関係を
短くまとめた文章です。

今回は、
公式を暗記する前に
身につけたい
「数式の読み方」
を考えていきます。
数式を見ても、すぐに計算しなくていい
電験3種で最初に出会う
代表的な公式が、
オームの法則です。
V=IR
多くの人は、
この式を見た瞬間に、
「Vを求めるときは、
IとRを掛ける」
と覚えようとします。
計算方法としては
間違っていません。
しかし、
手順だけを覚えていると、
問題の形が少し変わっただけで、
「掛けるんだっけ、割るんだっけ」
と迷いやすくなります。
まずは、式に登場する文字を
言葉へ置き換えてみましょう。
- Vは電圧
- Iは電流
- Rは抵抗
数式では、文字どうしの
掛け算にある「×」を
省略することがあります。

そのため「IR」は、
IとRを並べただけではなく、
I \times R
という意味です。
つまり、オームの法則は、
電圧は、電流と抵抗の積に等しい
という文章として読めます。
意味がわかると、
数式はただの
アルファベットではなくなります。
「=」は答えを書く記号ではない
学校では、
3+2=5
のように、
イコールの右側へ答えを
書くことが多かったと思います。
そのため、無意識に、
「右側が答え」
と思ってしまうことがあります。
しかし、「=」の本当の意味は、
左側と右側が等しい
です。

オームの法則なら、
左側の電圧と、右側の
「電流×抵抗」が
同じ大きさを表しています。
だから、求めたいものに
合わせて式の形を変えられます。
- V=IR
- I=\frac{V}{R}
- R=\frac{V}{I}
公式が3つあるわけではありません。
1つの関係を、求めたいものに
合わせて違う方向から
見ているだけです。
掛け算と割り算にも意味がある
次に、直流回路における
電力の基本式を見てみましょう。
P=VI
- Pは電力
- Vは電圧
- Iは電流
この式は、
電力は、電圧と電流の積に等しい
と読めます。
電圧が同じなら、
電流が大きくなるほど
電力も大きくなります。
電流が同じなら、
電圧が大きくなるほど
電力も大きくなります。
一方、割り算では、
上にある値が同じなら、
下にある値が大きくなるほど
答えは小さくなります。

例えば、
I=\frac{V}{R}
では、電圧が同じなら、
抵抗が大きくなるほど
電流は小さくなります。
公式の形を見るだけでも、
電気の量がどのように
変化するのかを予想できるのです。
数式を読めると、計算ミスに気づける
抵抗が変わらない回路で、
電圧を2倍にしたとします。
I=\frac{V}{R}
この式を文章として読めれば、
「抵抗は変わっていない」
「電圧が2倍になった」
「だから電流も2倍になるはず」
と、計算する前に予想できます。
もし計算結果の電流が
小さくなっていたら、
「掛け算と割り算を間違えたかもしれない」
と気づけます。
数式を読む力は、
公式を理解するためだけの
ものではありません。
計算結果がおかしくないか、
自分で確認する力にもなります。

数式を見たときの3つの手順
これから数式が出てきたら、
すぐに暗記したり、
数字を入れたりせず、
次の順番で読んでみてください。
1.文字の意味を確認する
Vは電圧、Iは電流、Rは抵抗。
まずは、式に登場する文字の
役割を確認します。
2.式を言葉に変える
V=IR
なら、
「電圧は、電流と抵抗の積に等しい」
と読んでみます。
3.数字が増えたらどうなるか考える
電圧が増えたら、
電流はどうなるのか。
抵抗が増えたら、
電流はどうなるのか。
数字を入れる前に、
答えが大きくなるのか、
小さくなるのかを予想します。
まとめ
数式は、暗記するために
並べられた文字ではありません。
電気の関係を、
短くまとめた文章です。
V=IR
なら、
電圧は、電流と抵抗の積に等しい
P=VI
なら、
電力は、電圧と電流の積に等しい
と読めます。

最初から、
すべての公式を理解する
必要はありません。
まずは一つの式を、
一つの文章に
変えてみてください。
読めなかった数式が
言葉に変わったとき、
公式は「覚えるもの」から
「自分で考えるための道具」
へ変わり始めます。
次の記事へ
次は、
Lesson4 公式を暗記すると忘れる理由
へ進みます。
何度書いても
公式を忘れてしまうのは、
記憶力が悪いからとは限りません。
もしかすると、
公式を「意味のない文字列」
として覚えようとしていたことに、
原因があるのかもしれません。



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