Lesson1 分数・比・逆数は「量の関係」を読む道具
分数が出てきた瞬間、
式が急に難しく見える。
比と逆数まで並ぶと、
どこをひっくり返せばよいの
か分からなくなる。
そんな経験はありませんか。
でも、分数・比・逆数は
別々の難しい計算ではありません。
どれも、二つの量が
どのような関係にあるかを
読むための道具です。
この三つがつながると、
オームの法則の式変形や
変圧器の変圧比も、
丸暗記ではなく意味から
考えられるようになります

分数は「割り算を一つの形にしたもの」
まず、分数の形を見てみます。
a / b
\frac{a}{b}
これは、aをbで割るという意味です。
分子aは「比べたい量」。
分母bは「基準にする量」と考えると、
式の意味が読みやすくなります。
たとえば、4個に等しく分けたうちの1個なら、
1 / 4
\frac{1}{4}
です。
大切なのは、上と下の数字を
ただ計算することではありません。
「何を、何を基準にして比べているのか」
を確認することです。

電気の式でも、分母は基準になります
オームの法則で電流を求める式は、
I = V / R
I=\frac{V}{R}
です。
電圧Vを、抵抗Rで割っています。
同じ電圧なら、
抵抗が小さいほど電流は流れやすく、
抵抗が大きいほど電流は小さくなります。
分母にある量が大きくなると、
全体の値は小さくなる。
これが読めれば、
数字を入れる前に答えの動きを予想できます。
ただし、分母を0にすることはできません。
数学では0で割ることが
定義されていないためです。
式を見るときは、この条件も
忘れないでください。
比は「二つの量を同じ物差しで比べる」
次は、比です。
a : b = a / b
a:b=\frac{a}{b}
a:bは、aをbで割った関係を表します。
2:4と1:2は、数字は違っても同じ比です。
2 / 4 = 1 / 2
\frac{2}{4}=\frac{1}{2}
両方を同じ数で割っても、
二つの量の関係は変わりません。
比は大きさそのものではなく、
二つが何倍の関係になっているかを見ています。

電験3種では「変圧比」にも比が出てくる
理想変圧器では、
一次側と二次側の巻数比は
電圧比に等しくなります。
N₁ / N₂ = V₁ / V₂
\frac{N_1}{N_2}=\frac{V_1}{V_2}
巻数が2:1なら、
電圧も2:1です。
たとえば、一次側の巻数が200回、
二次側が100回なら、巻数比は2:1です。
一次電圧が200 Vなら、
二次電圧は100 Vになります。
公式を一行丸暗記するより、
「巻数の比と電圧の比が対応している」
と読む方が、数字が変わっても迷いません。
※ここでは、損失のない理想変圧器として考えています。
逆数は「掛けると1になる相手」
最後は、逆数です。
ある数と掛けて1になる数を、
その数の逆数といいます。
a / b × b / a = 1
\frac{a}{b}\times\frac{b}{a}=1
2/3の逆数は3/2です。
分子と分母を入れ替えた形になります。
ただし、0には逆数がありません。
1/0が定義できないからです。
逆数は、単に数字を
ひっくり返す技ではありません。
割り算を掛け算へ変えるための道具です。
a / b = a × 1 / b
\frac{a}{b}=a\times\frac{1}{b}

分数と逆数がつながると、反比例が見える
もう一度、オームの法則を見ます。
I = V × 1 / R
I=V\times\frac{1}{R}
電流Iは、抵抗Rの逆数に比例しています。
電圧が同じなら、
抵抗が2倍になると電流は1/2になります。
抵抗が4倍なら、電流は1/4です。
これが反比例です。
式の中で文字が分母にあるときは、
その文字が増えたら答えはどう動くのか。
一度立ち止まって考えてみてください。
例題で三つの関係を確認しよう
同じ100 Vの電源に、
20 Ωと40 Ωの抵抗をそれぞれつなぎます。
20 Ωのときの電流は、
I₁ = 100 / 20 = 5 A
\displaystyle I_1=\frac{100}{20}=5\,\mathrm{A}
40 Ωのときの電流は、
I₂ = 100 / 40 = 2.5 A
\displaystyle I_2=\frac{100}{40}=2.5\,\mathrm{A}
抵抗の比は20:40=1:2です。
電流の比は5:2.5=2:1です。
抵抗が2倍になると、
電流は1/2になるため、比の向きが逆になります。
分数・比・逆数は、
ここで一つにつながっています。
よくある三つの間違い
① 分子と分母を反対にする
求めたい量を先に確認し、式を日本語で読みます。
② 比を数字の並びとして覚える
a:bはa/bと同じ関係だと確認します。
③ 逆数と符号の反転を混同する
2の逆数は1/2です。−2ではありません。
迷ったときは、
掛けて1になるかを確認すれば大丈夫です。

まとめ
分数・比・逆数は、
別々に暗記する計算技術ではありません。
分数は、何を何で割っているかを表す。
比は、二つの量の関係を表す。
逆数は、割り算を掛け算へ変える。
そして、分母にある量が増えると
答えが小さくなる関係を読めると、
反比例も見えてきます。
式を見たら、すぐ計算する前に、
① 何と何を比べているか
② 基準になっている量は何か
③ 一方が増えたら、もう一方はどうなるか
この三つを確認してみてください。
計算の形が、
電気の関係を表す文章に変わっていきます。
次の記事
STEP1 Lesson2
文字式と式変形
次は、求めたい文字を一人にする方法を扱います。
移項を丸暗記するのではなく、
等式のバランスから式変形を理解していきます。
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