【STEP1-2】文字式と式変形|移項より先に知ってほしいこと

Lesson2 文字式と式変形|移項より先に知ってほしいこと

式変形になると、
急に手が止まる。

「=をまたぐと符号が変わる」
と覚えたけれど、

掛け算や分数になると、
何をどこへ動かせばよいのか分からない。

そんな経験はありませんか。

でも、式の中の文字は
勝手に反対側へ移動しているわけではありません。

式変形の基本は、たった一つです。

等式の左右に、同じことをする。

この考え方がわかれば、
移項を忘れても自分で式を作り直せます。

「=」は左右が同じという約束

次の式を見てください。

x + 3 = 8

x+3=8

これは、左側のx+3と
右側の8が同じ値だという意味です。

「=」は答えを置く記号ではありません。

左右が同じ大きさであることを示す、
天びんの中心です。

天びんの片側だけから重りを取れば、
バランスは崩れます。

両側から同じ重りを取れば、
バランスは保たれます。

足した数を消したいなら、両辺から引く

x+3=8から、
xだけを残したいとします。

左側にある+3を消すため、
左右の両方から3を引きます。

x + 3 − 3 = 8 − 3

\displaystyle x+3-3=8-3

x = 5

x=5

左側だけから3を取ったのではありません。

両側から同じ3を引いた結果、
左側にxだけが残っています。

「移項すると符号が変わる」の正体

学校では、
+3を右辺へ移すと−3になる、
と習ったかもしれません。

これは便利な近道ですが、
文字や数字が本当に移動したわけではありません。

両辺から3を引く途中の計算を、
短く書いたものです。

x + 3 = 8 → x = 8 − 3

\displaystyle x+3=8\quad\Rightarrow\quad x=8-3

符号が変わったように見えるのは、
反対の計算を両辺に行った結果です。

迷ったら移項の形を思い出すのではなく、
「何をすれば左側の余計なものが消えるか」
と考えてみてください。

掛けた数を消したいなら、両辺を割る

次は、xに3が掛かっている式です。

3x = 12

3x=12

xだけを残すには、
左右の両方を3で割ります。

3x / 3 = 12 / 3

\displaystyle \frac{3x}{3}=\frac{12}{3}

x = 4

x=4

掛け算を消す計算は割り算です。

足し算には引き算。
掛け算には割り算。

元の計算を打ち消す反対の計算を、
左右に同じように行います。

式変形の目的は「求めたい文字を一人にする」

式変形で最初に確認するのは、
どの文字を求めたいのかです。

オームの法則を使って考えます。

V = IR

V=IR

電流Iを求めたいなら、
Iに掛かっているRを消します。

両辺をRで割ると、

V / R = IR / R

\displaystyle \frac{V}{R}=\frac{IR}{R}

I = V / R

I=\frac{V}{R}

となります。

抵抗Rを求めたいなら、
今度は両辺をIで割ります。

V / I = IR / I

\displaystyle \frac{V}{I}=\frac{IR}{I}

R = V / I

R=\frac{V}{I}

三つの公式を別々に覚えなくても、
V=IRから必要な形を作れます。

分数になっても、やっていることは同じ

電力の公式を見てみます。

P = VI

P=VI

電流Iを求めたいなら、
Iに掛かっているVを消したいので、
両辺をVで割ります。

I = P / V

I=\frac{P}{V}

電圧Vを求めたいなら、
両辺をIで割ります。

V = P / I

V=\frac{P}{I}

掛けてある文字で両辺を割る。

この考え方は、
オームの法則でも電力の公式でも同じです。

かっこは「ひとかたまり」で扱う

次の式では、少し注意が必要です。

V = I(R + r)

V=I(R+r)

Iには、Rだけではなく
かっこ全体のR+rが掛かっています。

Iを一人にするには、
両辺をR+r全体で割ります。

I = V / (R + r)

I=\frac{V}{R+r}

V/R+rではありません。

分母になるのは、
Iに掛かっていたR+rの全体です。

かっこを見たら、
どこまでが一つのまとまりなのかを確認してください。

0で割らないための条件も忘れない

両辺を文字で割るときは、
その文字が0ではないことが必要です。

I=V/Rでは、R≠0。
R=V/Iでは、I≠0として式変形しています。

電験3種の通常の計算では
途中で強く意識しないこともありますが、

数学としては、0で割ることはできません。

式を正しく扱うための条件として、
頭の片隅に置いておきましょう。

単位を使うと、式変形のミスに気づける

式を変形したら、
最後に単位を確認します。

I=V/Rなら、

A = V / Ω

\mathrm{A}=\frac{\mathrm{V}}{\Omega}

電圧を抵抗で割ると電流の単位になります。

もし求めたいのが電流なのに、
答えの単位がΩになっていたら、
式の上下を逆にした可能性があります。

単位は、計算後につける飾りではありません。

式変形が正しいかを確認するための、
もう一つの答え合わせです。

よくある四つの間違い

① 求めたい文字を決めずに動かす
最初に「誰を一人にするか」を確認します。

② 片側だけ計算する
等式の左右には、必ず同じ計算をします。

③ かっこの一部だけを分母にする
掛かっているまとまり全体で割ります。

④ 移項の符号だけを暗記する
迷ったら、反対の計算を両辺に書きます。

まとめ

式変形は、文字を移動させる技ではありません。

等式の左右へ同じ計算を行い、
求めたい文字を一人にする操作です。

足したものは引く。
掛けたものでは割る。
かっこは全体で扱う。

そして、変形後は単位を確認する。

この順番で考えれば、
移項の形を忘れても戻ってこられます。

式を動かす前に、
左右のバランスを見てください。

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STEP1 Lesson3
指数と平方根

次は、2乗・10の累乗・平方根を扱います。

記号の形を覚えるのではなく、
同じ数を何回掛けているのか、
どの数を掛けた結果なのかから整理します。

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