【STEP3-6】コンデンサ|電荷をためる部品を回路の中で読む

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コンデンサの充電が終わった直後、直流電流は流れ続ける?

読む前に1問。10秒で終わります。

Lesson6 コンデンサ|電荷をためる部品を回路の中で読む

2枚の極板・たまった正負の電荷・間の一様電界を1枚にまとめた構造図
2枚の極板・たまった正負の電荷・間の一様電界を1枚にまとめた構造図

ここまでの5つのLessonは、空間の話でした。

電荷があって、まわりに電界ができて、電位が決まる。
図はあっても、回路図ではありませんでした。

このLessonから、静電気が回路の中の部品になります。

コンデンサです。

そして、ここでSTEP2とSTEP3が合流します。

コンデンサは「電荷をためる部品」

Q=CV の3つの量と、STEP2の V=IR を並べた対応図
Q=CV の3つの量と、STEP2の V=IR を並べた対応図

構造はとても単純です。

金属の板を2枚、向かい合わせに置く。間はつながっていない。

これだけです。

電池につなぐと、何が起きるか。

  • 片方の板に、正の電荷がたまる
  • もう片方の板に、同じ量の負の電荷がたまる
  • 板の間に、電界ができる(Lesson4の一様電界)
  • 板の間に、電位差ができる(Lesson5)

Lesson1〜5で扱ったことが、全部この部品の中で起きています。

新しい現象は一つもありません。

電圧をかけたら、どれだけたまるか

充電中(電流あり・電圧上昇)と充電後(電流0・電圧一定)の2枚並べ
充電中(電流あり・電圧上昇)と充電後(電流0・電圧一定)の2枚並べ

同じ電圧をかけても、コンデンサによってたまる電荷の量は違います。

たくさんためられるものと、少ししかためられないもの。
この「ためやすさ」を表すのが、静電容量 C です。

Q=CV
  • Q:たまった電荷[C]
  • C:静電容量[F](ファラド)
  • V:加えた電圧[V]

並べ替えれば、

C=\frac{Q}{V}

**1 Vをかけたときに、何 C たまるか。**それが静電容量です。

STEP2と並べて読む

F・μF・nF・pF の桁スケール図
F・μF・nF・pF の桁スケール図

この式、STEP2で見た形に似ていませんか。

STEP2 STEP3
V = IR Q = CV
抵抗 R=流れにくさ 静電容量 C=ためやすさ
R が大きい → 電流が小さい C が大きい → 電荷が多い

一つだけ注意があります。

抵抗は「にくさ」、静電容量は「やすさ」です。向きが逆です。

  • 抵抗が大きいほど、電流は減る
  • 容量が大きいほど、電荷は増える

この向きの違いが、Lesson9で「直列・並列の公式が抵抗と逆になる」ことの根っこになります。今から意識しておいてください。

ファラドは、とても大きい単位

Lesson1〜5の要素がコンデンサ1個に集まる合流図
Lesson1〜5の要素がコンデンサ1個に集まる合流図

静電容量の単位はファラド[F]。

1 Fとは、1 Vをかけたときに 1 C たまる大きさです。

ところが、Lesson1で確認したとおり、電荷を空間にためるのはとても難しい。
だから 1 F は、実用上とてつもなく大きな値になります。

実際の回路で出てくるのは、

表記 意味
μF 10⁻⁶ F
nF 10⁻⁹ F
pF 10⁻¹² F

電験3種の問題文も、ほぼ μF か pF です。

**代入する前に F へ直す。**Lesson1から繰り返している注意が、ここでも効きます。

充電中と、充電後は違う

ここが、STEP2からの読み替えでいちばんつまずく場所です。

コンデンサの2枚の板は、つながっていません。
では、電流は流れないのでしょうか。

充電中は流れます。充電後は流れません。

順に見ます。

スイッチを入れた瞬間

板にはまだ電荷がありません。
電池は電荷を送り込もうとするので、電流が流れます。

このとき、コンデンサの電圧は 0 Vです(Q=0 なので V=Q/C=0)。

充電が進むにつれて

板に電荷がたまるほど、コンデンサの電圧が上がります。
電池の電圧との差が小さくなるので、流れ込む電流は減っていきます。

充電が終わったあと

コンデンサの電圧が、電池の電圧と等しくなります。
差がないので、電流は流れません。0 Aです。

つまり、定常状態のコンデンサは、直流に対して「切れている」のと同じです。

回路図でコンデンサがあっても、十分に時間が経った後なら、そこに電流は流れません。この読み方だけで解ける問題があります。

(充電の途中経過を時間の式で追うのが「過渡現象」です。STEP3では扱いません。ここでは「充電中は流れる、充電後は流れない」で十分です。)

計算する前に、予想する

5 μF のコンデンサに 100 V をかけました。たまる電荷は。

Q = CV なので、C と V の両方に比例します。

電圧を 2倍の 200 V にしたら、電荷は。

2倍です。

電圧はそのままで、容量が 2倍のコンデンサに替えたら。

これも 2倍

抵抗のときのような反比例は出てきません。素直な比例です。

ただし、次のLesson以降で「容量 C そのものが何で決まるか」に入ると、そこで反比例が出てきます(間隔 d)。混ぜないでください。

  • Q = CV の関係 → すべて比例
  • C = εS/d の関係 → d は反比例(Lesson7)

小さな数字で確認する

5 μF のコンデンサに 100 V を加えました。たまる電荷は何 C ですか。

単位を直します。5 μF = 5×10⁻⁶ F。

Q=CV=5\times10^{-6}\times100=5\times10^{-4}\ \mathrm{C}

0.0005 C。μC で言えば 500 μC です。

確認します。100 V で 500 μC たまるなら、1 V あたりは 5 μC。
これは容量 5 μF と一致します。C は「1 Vあたりの電荷」でした。

もう一つ。

あるコンデンサに 50 V をかけたら、200 μC たまりました。静電容量は。

C=\frac{Q}{V}=\frac{200\times10^{-6}}{50}=4\times10^{-6}\ \mathrm{F}=4\ \mathrm{\mu F}

4 μFです。

はるの気づき

コンデンサを、私は「よく分からない部品」として飛ばしていました。

抵抗は分かる。電流を邪魔するもの。
コイルも、なんとなく分かる。

でもコンデンサは、つながっていないのに回路図に描いてある。それが気持ち悪かった。

腑に落ちたのは、Lesson1〜5をやり直したあとです。

コンデンサの中で起きていることは、全部やったことでした。
電荷がたまる、電界ができる、電位差ができる。新しいことは何もなかった。

分からなかったのは、コンデンサではありませんでした。
その手前の、静電気そのものでした。

止まった場所は、たいていその一つ前にあります。
戻る先を間違えないでください。

電験3種では、ここを確認する

コンデンサは、理論科目で必ず出ます。確認すべきは4つ。

  1. Q = CV の3つの量を、どれが与えられているか整理する
    STEP2の V = IR と同じ扱い方です。

  2. 単位を F へ直してから代入する
    μF のまま入れると、答えが 10⁶ 倍ずれます。

  3. 「十分時間が経過した後」という文言を探す
    これがあれば、コンデンサに電流は流れません。抵抗だけの回路として読めます。

  4. 電源をつないだままか、切り離した後か
    つないだまま → 電圧が一定
    切り離した後 → 電荷が一定
    この区別は、Lesson7以降の「間隔を変えたら」「誘電体を入れたら」という問題で決定的になります。

4つ目は、いま完全に理解できなくて構いません。
ただ、問題文にこの区別が必ず書いてあることだけ、頭に入れておいてください。

まとめ

コンデンサは、電荷をためる部品。

Q=CV,\qquad C=\frac{Q}{V}
  • 静電容量 C は「1 Vあたり、何 C ためられるか」=ためやすさ
  • 抵抗が「流れにくさ」なのに対し、容量は「やすさ」。向きが逆
  • 単位はファラド[F]。実際は μF・nF・pF
  • 充電中は電流が流れ、充電後は流れない

そして、コンデンサの中で起きているのはLesson1〜5そのものです。

次は、その C が何で決まるのかに入ります。

C=\varepsilon\frac{S}{d}

この式を暗記する前に、板を広くしたら・近づけたらどうなるかを、構造から予想します。

コンデンサは「電荷をためる部品」でした。Q=CVが使える形になっているか、6問で確認します。

EXERCISE

読んだ直後に、6問だけ。

最初の3問は、計算しません

頭の中で答えてから、答えを開いてください。

問1予想 ★☆☆

同じコンデンサに加える電圧を 3倍にしました。たまる電荷はどうなりますか。

① 3倍 ② 1/3 ③ 9倍 ④ 変わらない

答えを見る

① 3倍

Q = CV。C は部品側で決まっている定数なので、Q は V に比例します。

ここは素直な比例です。2乗も反比例も出てきません。次のLessonで C = εS/d に入ると反比例(間隔 d)が出てきますが、Q=CV の関係とは別の話です。混ぜないでください。

問2予想 ★★☆

電池・抵抗・コンデンサを直列につないだ回路です。十分に時間が経過した後、コンデンサに流れる電流はどうなりますか。

① 一定の電流が流れ続ける ② 0 A ③ 少しずつ増える

答えを見る

② 0 A

充電が終わると、コンデンサの電圧が電源電圧と等しくなります。差がないので、電荷は動きません。

直流に対して、定常状態のコンデンサは切れているのと同じです。

「十分に時間が経過した後」という一文は、コンデンサを外して考えてよいという合図です。この読み方だけで解ける問題があります。逆に「スイッチを入れた瞬間」なら、コンデンサの電圧は 0 V(=短絡と同じ)です。

問3言葉を選ぶ ★★☆

静電容量 C を、言葉で正しく言い換えているのはどれですか。

① 電流の流れにくさ ② 1 Vあたりにためられる電荷の量 ③ たまっている電荷の総量

答えを見る

② 1 Vあたりにためられる電荷の量

C = Q/V。割り算の形が、そのまま意味です。

③は Q のことです。C は「たまっている量」ではなく「ためられる能力」を表します。電圧をかけていなければ Q は 0 ですが、C は変わりません。

Lesson3の電界と同じ構造です。置く前から部品側で決まっている量——それが C。実際にいくらたまるかは、かけた電圧で決まります。

問4まちがい探し ★★☆

次の解答には誤りがあります。どこでしょうか。

「10 μF のコンデンサに 20 V を加えた。たまる電荷を求める。

Q = CV = 10 × 20 = 200 C

答えを見る

誤り:μF を F に直さずに代入している

10 μF = 10×10⁻⁶ F

正しくは Q = 10×10⁻⁶ × 20 = 2×10⁻⁴ C = 200 μC

気づき方:200 C は、2 A の電流を100秒流し続けた電荷。

コンデンサ1個にそんな量はたまりません。数字の並びが同じ(200)でも、単位が C か μC かで 100万倍違います。STEP3では、答えが μ の桁に収まっているかを最後に必ず見てください。

問5計算 ★☆☆

あるコンデンサに 40 V を加えたら、120 μC の電荷がたまりました。静電容量は何 μF ですか。

答えを見る

3 μF

C = Q/V = 120×10⁻⁶ ÷ 40 = 3×10⁻⁶ F = 3 μF

この問題は、μ をそろえたまま計算しても大丈夫です。μC ÷ V = μF になるからです。ただし、次のLessonのように面積や距離が混ざる式では通用しません。迷ったら基本単位へ直すを既定にしてください。

問6計算(別の道で確認)★★☆

問5のコンデンサに、電圧を 100 V に上げて加え直しました。たまる電荷は何 μC ですか。
ヒント:代入せずに求められます。

答えを見る

300 μC

道その1(倍率で):電圧が 40 → 100 で 2.5倍。Q は V に比例するので 2.5倍。

120 × 2.5 = 300 μC

道その2(代入):

Q = CV = 3×10⁻⁶ × 100 = 3×10⁻⁴ C = 300 μC

同じ答えに着きました。C は部品側の値なので、電圧を変えても変わりません。変わるのは Q だけ。この「何が変わって、何が変わらないか」の見極めが、Lesson7以降の問題(間隔を変える、誘電体を入れる)でそのまま問われます。

6問、おつかれさまでした。

問2と問6が答えられたなら、コンデンサを回路の部品として扱えています。

次は、その C が何で決まるのかに入ります。

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