STEP2|直流回路を読む
Lesson 11|直流回路の過去問へ|問題文を現象から数式へ変える7つの手順
ここまで読んでも、
過去問を開くのはまだ怖い。
公式は少し分かるようになったけれど、
自分で使えるか自信がない。
その感覚は自然です。
記事を読むことと、何も書かれていない問題用紙から
自分で始めることの間には、段差があります。
このLessonでは、その段差を
7つの小さな手順に分けます。
手順1|何が起きている回路か、一文で言う
計算式を書く前に、
回路の種類を言葉にします。
直列抵抗へ一定の電圧が加わり、
回路電流と一つの抵抗の電力を求める問題。
完璧な説明でなくて大丈夫です。
直列か並列か。
電源は一つか複数か。
何が変化するのか。
まず、回路の全体像をつかみます。
手順2|与えられた数値と単位を整理する
次に、問題文から数値を抜き出します。

- 電源電圧:100 V
- 抵抗1:20 Ω
- 抵抗2:30 Ω
- 求める量:30 Ωの消費電力
数値だけでなく、
単位まで一緒に書き出しましょう。
接頭語が付いているときは、
先に基本単位へ直します。
手順3|答えの大きさと動きを予想する
まだ細かい計算はしません。
答えがどのくらいになりそうか、
先に予想します。

20 Ωと30 Ωの直列合成抵抗は、
50 Ωです。
100 Vを50 Ωで割るので、
電流は2 A程度になりそうです。
30 Ωの抵抗には、20 Ωの抵抗より
大きい電圧がかかるはずです。
この時点で、答えの向きと
およその範囲を作っておきます。
手順4|使う法則を言葉で選ぶ
いきなり公式を書かず、
何を使うかを言葉にします。
- 直列なので抵抗を足す
- オームの法則で回路電流を求める
- 電流と抵抗から30 Ωの電力を求める
公式名を当てるゲームではありません。
求めたい量へ進むための、
道順を作ります。

手順5|現象を数式へ変える
道順が決まったら、
一つずつ数式へ変えます。
まず、直列の合成抵抗です。
R=20+30=50\,\mathrm{\Omega}次に、オームの法則で
回路電流を求めます。
最後に、30 Ωの抵抗の
消費電力を求めます。
答えは120 Wです。
手順6|別の道で確認する
一つの式で答えが出ても、
そこで終わりにしません。
30 Ωの抵抗にかかる電圧は、
V_{30}=IR=2\times30=60\,\mathrm{V}したがって、電圧と電流から求めると、
P=VI=60\times2=120\,\mathrm{W}同じ120 Wになりました。
分圧でも確認できます。
20 Ωには40 V、30 Ωには60 V。
40+60=100\,\mathrm{V}電源電圧の100 Vへ戻るので、
回路全体としてもつじつまが合います。
手順7|間違えた場所ではなく、止まった場所へ戻る
答えが違ったとき、
解説を最初から写さないでください。

- 直列・並列の判定で止まった → STEP2 Lesson 3
- 電圧・電流の配分で止まった → STEP2 Lesson 4
- 式変形で止まった → STEP1 Lesson 2
- 連立方程式で止まった → STEP1 Lesson 5
- 電力公式の選択で止まった → STEP2 Lesson 9
「この問題が解けなかった」で
終わらせないことが大切です。
知識同士のつながりが
どこで切れていたのかを見つけます。
過去問周回は、答えを覚える作業ではない
同じ問題でも、
周回ごとに目的を変えます。

1周目|止まった位置を知る
問題の種類と、
自分が止まった位置を確認します。
2周目|言葉から式を選ぶ
現象を言葉にして、
使う法則と式を自分で選びます。
3周目|時間内に再現する
答えを覚えているかではなく、
解く手順を時間内に再現できるか確認します。
はるの気づき
私は、過去問を解けるようになってから
過去問を始めようとしていました。
でも、その日はなかなか来ませんでした。
過去問は、実力が完成した人だけが
入る場所ではありません。
今の自分がどこで止まるかを
教えてくれる地図です。
一問を最後まで解けなくても、
回路の種類を言えた。
与えられた量を整理できた。
使う法則を一つ選べた。
それは、以前よりも
過去問の中へ入れたということです。
EXERCISE
読んだ直後に、6問だけ。
最初の3問は、計算しません。
頭の中で答えてから、選んでください。
問1手順1 ★☆☆
過去問を開いて、いちばん最初にやることはどれですか。
- ①使えそうな公式を思い出す
- ②どんな回路の問題かを、一文で言ってみる
- ③与えられた数値を式に入れてみる
答えを見る
② どんな回路の問題かを、一文で言ってみる
「直列抵抗へ一定の電圧が加わり、回路電流と一つの抵抗の電力を求める問題」
——このくらいで十分です。完璧な説明でなくて構いません。
直列か並列か。電源は一つか複数か。何が変化するのか。
全体像をつかまないまま公式を探すから、手が止まります。計算式を書く前に、回路の種類を言葉にしてください。
問2手順7 ★★☆
解いてみたら答えが違いました。次にやるべきことはどれですか。
- ①解説を最初から書き写す
- ②自分が止まった場所を特定し、そのLessonへ戻る
- ③気にせず次の問題へ進む
答えを見る
② 止まった場所を特定して、そのLessonへ戻る
直列・並列の判定で止まった → STEP2 Lesson 3
電圧・電流の配分で止まった → STEP2 Lesson 4
式変形で止まった → STEP1 Lesson 2
連立方程式で止まった → STEP1 Lesson 5
電力公式の選択で止まった → STEP2 Lesson 9
大事なのは「間違えた場所」ではなく「止まった場所」です。「この問題が解けなかった」で終わらせず、知識同士のつながりがどこで切れていたのかを見つけてください。
問3手順4 ★★☆
問題文に「端子電圧」という言葉がありました。何を使う合図ですか。
- ①電源に内部抵抗がある(STEP2-8)
- ②ブリッジが平衡している(STEP2-6)
- ③Δ-Y変換が必要(STEP2-7)
答えを見る
① 電源に内部抵抗がある
起電力と端子電圧をわざわざ区別しているのは、内部抵抗を考えさせたいからです。
電流を求めるときに、内部抵抗を足し忘れないこと。
ほかの合図も同じように読めます。
「平衡している」→ ブリッジ/「三角形に接続」→ Δ-Y/「負荷を変えたとき」→ テブナン
いきなり公式を書かず、何を使うかを言葉にするのが手順4です。公式名を当てるゲームではありません。求めたい量へ進むための、道順を作っています。
問4まちがい探し(手順2)★★☆
次の解答には誤りがあります。どこでしょうか。
R = V/I = 12 ÷ 400 = 0.03 Ω」
- ①mA を A に直さずに代入している
- ②R = V/I という式が誤り
- ③12 V を使っているのが誤り
- ④誤りはない。計算は合っている
答えを見る
誤り:mA を A に直さずに代入している
400 mA = 400 × 10⁻³ = 0.4 A → R = 12 ÷ 0.4 = 30 Ω
気づき方:0.03 Ω は、ほとんど導線と変わらない値。
そこに 12 V をかけたら、とんでもない電流が流れてしまいます。
式は正しいのに、単位で落とす。これが電験3種でいちばん惜しい失点です。手順2で数値を書き出すとき、接頭語が付いていたら先に基本単位へ直す。1 mA = 10⁻³ A、1 kΩ = 10³ Ω。この1手順を固定してください。
問5計算(手順3〜5)★★☆
200 V の電源に、30 Ω と 20 Ω を直列につなぎました。20 Ω の消費電力を求めてください。
- ①320 W
- ②800 W
- ③2000 W
- ④80 W
答えを見る
320 W
手順3(予想):合成は 50 Ω。200 を 50 で割るので、電流は 4 A くらい。20 Ω は小さい方なので、かかる電圧は半分より小さいはず。
手順4(言葉で選ぶ):直列なので抵抗を足す → オームの法則で電流 → 電流と抵抗から電力。
手順5(数式へ):
R = 30 + 20 = 50 Ω
I = 200 ÷ 50 = 4 A
P = I²R = 4² × 20 = 320 W
予想した 4 A と一致しました。ここで終わりにせず、問6へ進んでください。
問6計算(手順6)★★★
問5と同じ回路で、20 Ω にかかる電圧を先に求めてください。その電圧から電力を出すと、いくつになりますか。
- ①80 V / 320 W
- ②120 V / 720 W
- ③200 V / 2000 W
- ④40 V / 80 W
答えを見る
別の道でも 320 W
道その2(電圧と電流から):
V₂₀ = IR = 4 × 20 = 80 V
P = VI = 80 × 4 = 320 W ✓
道その3(分圧で全体のつじつまを見る):
20 Ω には 80 V、30 Ω には 4 × 30 = 120 V。
80 + 120 = 200 V で電源電圧へ戻ります ✓
予想どおり、20 Ω の電圧(80 V)は半分の 100 V より小さくなっています ✓
一つの式で答えが出ても、そこで終わりにしない——これが手順6です。別の道で同じ答えに着けば、その答えは信じられます。試験本番で見直す時間がないときほど、この確認が効きます。
6問、おつかれさまでした。
問1〜問4が答えられたなら、この記事は身についています。
迷ったところがあれば、その見出しにだけ戻ってください。全部を読み直す必要はありません。
STEP2修了チェック
- □ 電圧・電流・抵抗の役割を説明できる
- □ オームの法則から求めたい式を作れる
- □ 直列と並列を電流の道で判定できる
- □ 分圧と分流の大小を予想できる
- □ キルヒホッフの二法則を言葉で説明できる
- □ ブリッジの中央電流が0になる理由を説明できる
- □ Δ-Y変換の目的を説明できる
- □ 内部抵抗で端子電圧が下がる理由を説明できる
- □ 電力と電力量の単位を区別できる
- □ 重ね合わせとテブナンで回路を簡単にできる
- □ 過去問で止まったLessonへ戻れる
全部できるまで先へ進めない、
という試験ではありません。
七つ以上できたら、
直流回路の基本過去問を始めてください。
まとめ
直流回路の問題は、
公式を思い出した人から解けるのではありません。
- 現象を言葉にする
- 数値を整理する
- 答えを予想する
- 法則を選ぶ
- 数式へ変える
- 別の道で確認する
- 止まった場所へ戻る
この順番があれば、
公式を少し忘れても戻れます。
まず、直流回路の過去問を
一問だけ解いてみてください。
正解・不正解だけではなく、
どこまで自分で進めたかを確認しましょう。
次のSTEPでは、
静電気とコンデンサを読みます。
目に見えない電荷・電界・電位を、
現象からイメージ、数式へつなげていきます。
STEP2を修了しました
ここまで、本当にお疲れさまでした。
次は静電気とコンデンサへ進みます。



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