家庭のコンセントは100 V。
電池は1.5 V。
私たちは普段、
「ここには100 Vある」
と言います。
では、その100 Vは、
いったいどこにあるのでしょうか。
電線の中に100 Vが
詰まっているのでしょうか。
それとも、コンセントの穴の
片方だけに100 Vがあるのでしょうか。
この疑問が分かると、
電圧計をなぜ並列につなぐのか、
回路の電圧降下をなぜ
足し算できるのかが見えてきます。
電圧は一つの点だけでは決まらない

電圧とは、二つの点の電位の差です。
V_{AB}=V_A-V_B
点Aの電位から点Bの電位を
引いたものが、Aから見たBとの
電位差です。
そのため、
「点Aは100 Vです」
と言うには、
基準となる点を決める
必要があります。
点Bを0 Vと決め、
点AがBより100 V高ければ、
Aの電位を100 Vと表せます。
基準を言わずに
一つの点だけを見ても、
電圧は決まりません。
高さも基準が必要
山の高さを考えてみます。
標高100 mとは、
海面を0 mとしたときの高さです。
同じ場所でも、
谷底を基準にすれば
別の数字になります。
高さそのものより、
高さの差が物体を動かします。
水は高い場所から
低い場所へ流れます。
電気でも、
電位の差が電荷を動かすもとに
なります。
電圧を「電気の高さ」と
例えることがありますが、
大切なのは高さそのものではなく、
二点間の高低差です。
電圧計を並列につなぐ理由

電圧計は、
測りたい部分の両端へつなぎます。
抵抗の電圧を測るなら、
抵抗の入口側と出口側の二点へつなぎます。
一つの点だけへつないでも、
差を測れません。
これが、
電圧計を並列につなぐ理由です。
一方、電流計は、
その場所を通過する
電荷の量を測ります。
そのため、電流の通り道へ
直列に入れます。
- 電圧計:二点の差を測るから並列
- 電流計:通過する量を測るから直列
丸暗記ではなく、
測っている量の違いが
接続方法の違いになります。
抵抗の両端では何が下がるのか
電流が抵抗を通ると、
抵抗の両端に電圧の差が生じます。
V=IR
この差を、電圧降下といいます。
「電流が減った」のではありません。
電荷1 Cあたりが持つ電気エネルギーが、
抵抗で熱などへ変わったため、
電位が下がります。
一本道の直列回路では、
抵抗の前後で同じ電流が流れます。
一方、電圧は各抵抗へ分かれます。
電源電圧と電圧降下がつり合う
12 Vの電源へ、
2 Ωと4 Ωの抵抗を直列に
つなぎます。
合成抵抗は6 Ωなので、電流は、
I=\frac{12}{6}=2\,\mathrm{A}
です。
2 Ωの抵抗での電圧降下は、
V_1=2\times2=4\,\mathrm{V}
4 Ωの抵抗では、
V_2=2\times4=8\,\mathrm{V}
です。
二つを足すと、
V_1+V_2=4+8=12\,\mathrm{V}
となり、電源電圧と一致します。
電源が電位を12 V持ち上げ、
抵抗で4 Vと8 V下がって、
元の場所へ戻るイメージです。
「接地=必ず0 V」ではない
回路図では、
基準点を0 Vとして扱うために
接地記号を使うことがあります。
ただし、
接地の目的や方式によって
意味は異なります。
「地面につながっているから、
どんな場合でも完全に安全で必ず0 V」
と単純に考えないでください。
基本回路の計算では、
どの点を基準の0 Vとするかを確認し、
そこから各点の電位を考えます。
電験三種では、二点を必ず確認する
問題文に
「端子電圧」「抵抗の両端電圧」「線間電圧」
などが出てきたら、
どの二点間の差かを図へ書き込みます。
同じ100 Vでも、
測っている二点が違えば
意味も変わります。
電圧を示す矢印を回路図へ描くだけで、
符号の取り違えや、
関係のない抵抗の電圧を使うミスを
減らせます。
まとめ
電圧は、一つの点に詰まっている量ではありません。
二つの点の電位の差です。
- 基準点を決めて、各点の電位を表す
- 電圧計は二点の差を測るため並列につなぐ
- 抵抗では電流が消えるのではなく、電位が下がる
- 一周したとき、電源の電圧上昇と抵抗の電圧降下がつり合う
「何Vですか」と聞かれたら、
最初に「どことどこの間ですか」
と考えてください。
次の「なぜ?」へ
次は、
なぜ?06 なぜ負荷を通ったあとも電流は減らないの?
を考えます。
電球や抵抗が電気を使ったなら、
その後の電流は少なくなりそうです。
それなのに、直列回路ではどこでも
同じ電流になるのはなぜでしょうか。
確認問題
1. 「点Aは5 V」と言うために
必要なものは何ですか。
2. 電圧計を抵抗の両端へ
並列につなぐのはなぜですか。
3. 12 Vの電源で、二つの抵抗の電圧降下が
4 Vと8 Vでした。合計はいくつですか。
答え
1. 0 Vとする基準点
2. 電圧が二点間の電位差だから
3. 12 V



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