電験三種の勉強を始めると、
最初に覚える公式があります。
V=IR
私は以前、V・I・Rの位置を
三角形で覚えていました。
電圧を求めるときは掛け算。
電流と抵抗を求めるときは割り算。
計算はできても、
「なぜこの形なの?」と
聞かれると説明できませんでした。
今回は、三つの公式を覚えるのではなく、
これまでの二つの「なぜ」を一つにつなげます。
まず、何を変えたらどうなるか

同じ抵抗へ加える電圧を2倍にすると、
電流も2倍になります。
I\propto V
電流は電圧に比例します。
次に、電圧を変えずに抵抗を2倍にすると、
電流は半分になります。
I\propto\frac{1}{R}
電流は抵抗に反比例します。
この二つを同時に表すと、
I\propto\frac{V}{R}
となります。
つまり電流は、動かすもとになる差が大きいほど増え、
流れにくさが大きいほど減ります。
比例を等式にする
比例の記号 \propto は、
「同じ割合で変わる」という意味です。
これを等式にするには、比例定数が必要です。
電圧をV、電流をI、流れにくさを表す量をRと定めると、
I=\frac{V}{R}
となります。
両辺へRを掛ければ、
V=IR
です。
V=IRは、突然生まれた文字の並びではありません。
電圧を大きくすると電流が増える。
抵抗を大きくすると電流が減る。
この二つの観察を一つの式にしたものです。
抵抗Rは、VとIの比
式をRについて並べ替えると、
R=\frac{V}{I}
となります。
同じ電流を流すために
大きな電圧が必要なものほど、
抵抗が大きいと読めます。
例えば、1 Aを流すために、
- 2 V必要なら2 Ω
- 10 V必要なら10 Ω
です。
抵抗とは、単に部品へ書かれた
数字ではありません。
どれだけの電圧をかけたとき、
どれだけの電流が流れるかを表す比です。
単位にも意味がある
1 Ωとは、1 Vの電圧をかけたときに
1 Aが流れる抵抗です。
1\,\Omega=\frac{1\,\mathrm{V}}{1\,\mathrm{A}}
したがって、
1\,\mathrm{V}=1\,\mathrm{A}\times1\,\Omega
となります。
単位まで読めれば、
掛け算か割り算かを忘れても戻れます。
電流を求めるなら、VをΩで割ってAにする。
抵抗を求めるなら、VをAで割ってΩにする。
すべての部品でV=IRになるわけではない
ここは大切な注意です。
V=IRのRを一定として扱えるのは、
電圧と電流が比例する範囲です。
この関係に従う抵抗体を、
オーム性の抵抗と呼びます。
電球のフィラメントは温度が上がると抵抗が変わります。ダイオードは電圧と電流が直線的な比例関係になりません。
電験三種の基本的な抵抗回路では、特に条件がなければRを一定として計算します。ただし、グラフや温度特性が与えられた場合は、その条件を読みます。
小さな数字で確かめる

6 Ωの抵抗へ12 Vを加えます。
I=\frac{12}{6}=2\,\mathrm{A}
電圧を24 Vへ2倍にすると、
I=\frac{24}{6}=4\,\mathrm{A}
電流も2倍です。
今度は電圧を12 Vへ戻し、抵抗を12 Ωへ2倍にすると、
I=\frac{12}{12}=1\,\mathrm{A}
電流は半分です。
公式へ数字を入れる前に、この増減を予想してください。
まとめ
オームの法則がV=IRになるのは、電流が電圧に比例し、抵抗に反比例するからです。
I=\frac{V}{R}
を並べ替えたものが、
V=IR
です。
三つの公式を別々に覚える必要はありません。
現象へ戻り、増えるか減るかを予想し、必要な文字を一人にする。それが、公式を忘れても戻れる方法です。
次の「なぜ?」へ
次は、
なぜ?05 電圧は「どこ」にあるの?
を考えます。
「ここに100 Vある」と言うとき、その100 Vは一つの点にあるのでしょうか。電圧計を並列につなぐ理由までつなげます。
確認問題
1. 抵抗が一定のとき、電圧を3倍にすると電流はどうなりますか。
2. 電圧が一定のとき、抵抗を4倍にすると電流はどうなりますか。
3. 20 Vを加えて4 Aが流れる抵抗は何Ωですか。
答え
1. 3倍
2. 1/4
3. 5 Ω



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