【STEP3-2】クーロンの法則|距離が2倍になると、力は4分の1になる

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2つの電荷の距離を2倍にすると、電気力はどうなる?

読む前に1問。10秒で終わります。

Lesson2 クーロンの法則|距離が2倍になると、力は4分の1になる

同じ符号は反発し、異なる符号は引き合う図
同じ符号は反発し、異なる符号は引き合う

静電気の最初の公式が、これです。

F=k\frac{Q_1Q_2}{r^2}

多くの参考書は、
この式を最初に出します。
そして読者は、
記号を覚えることに全力を
使ってしまいます。

でも、
試験で問われているのは記号の
並びではありません。

「ここを変えたら、
力はどう変わるか」

これが読めるかどうかです。

だから今回は、
公式を後回しにします。
まず、変化だけを先につかみます。

二つの電荷の間には、力が働く

距離が1倍・2倍・3倍のとき、力が1・4分の1・9分の1になる比較図
距離が2倍なら、力は4分の1

正の電荷と負の電荷は
引き合います。
同じ符号どうしは反発します。

これは経験でも分かります。
下敷きと髪、風船と壁。

問題は、
その力がどのくらいの
大きさか
です。

決めているのは、たった二つです。

  1. 電荷が大きいか小さいか
  2. 二つの電荷が近いか遠いか

これ以外にありません。

電荷の大きさは、そのまま効く

片方の電荷を2倍にすると力も2倍になる図
電荷を2倍にすると、力も2倍

片方の電荷を2倍にすると、
力は2倍になります。

理由は素直です。
引っぱる相手が2倍いれば、
引っぱられる力も2倍になる。

両方とも2倍にすれば、
2×2で4倍です。

つまり、
力はQ₁ とQ₂ の
に比例します。

F\propto Q_1Q_2

ここは、まだ難しくありません。

距離は「2乗」で効く

距離の2乗が球面に広がるため力が弱くなる図
距離の2乗は、球面に広がるため

問題はこちらです。

距離を2倍にすると、
力は半分ではありません。
4分の1になります。

距離を3倍にすれば、9分の1。

F\propto\frac{1}{r^2}

なぜ2乗なのか。

いま、
その理由を完全に説明することは
しません。
Lesson4で、
電気力線と球の表面積を
使って種明かしをします。

ここでは、
イメージだけ持ってください。

電荷から出ていく「電気の影響」
は、
四方八方へ広がります。
広がる先は、
平面ではなく球面です。

球の表面積は 4πr²。
距離 r が2倍になれば、
表面積は4倍になります。

同じ量の影響が4倍の面積に
散らばるので、
1か所あたりは4分の1。

距離の2乗は、
球の表面積から来ている。

いまは、この一行だけで十分です。

ここで公式を出す

クーロンの法則から電荷と距離の倍率を読む図
クーロンの法則は「何倍になるか」を読む

変化が分かったところで、
式にします。

F=k\frac{Q_1Q_2}{r^2}\ [\mathrm{N}]

  • F:力[N]
  • Q₁, Q₂:それぞれの
    電荷[C]
  • r:二つの電荷の距離[m]
  • k:比例定数

真空中では、

k\approx9\times10^9\ [\mathrm{N\cdot m^2/C^2}]

この9×10⁹ という値は
覚えておくと計算が速くなります。

そして k は、
あとで出てくる誘電率 εを
使って、
こう書けます。

k=\frac{1}{4\pi\varepsilon}

ここに 4π が出てくるのが、
球の表面積の名残です。
Lesson4でつながります。
今は「そういう形をしている」
だけで構いません。

計算する前に、予想する

計算前に力の倍率を予想する図
計算前に、力の倍率を予想する

例題です。

> 2つの点電荷の間に働く力が
8N でした。
> 距離をそのままに、
片方の電荷を3倍にしました。
力はいくつになりますか。

計算する前に言えます。

電荷が3倍 → 力も
3倍→ 24 N

では、次はどうでしょう。

> 電荷はそのままで、
距離を半分にしました。

距離が半分 → 2乗で効くので
1/(1/2)² = 4倍→ 32 N

では、両方同時なら。

> 片方の電荷を3倍、
かつ距離を半分にしました。

3倍 × 4倍 = 12倍 → 96 N。

公式に数値を代入していません。
変化の倍率だけを
掛け合わせています。

電験3種の選択肢問題では、
この読み方だけで答えが出ること
がよくあります。

小さな数字で確認する

小さな数をクーロンの法則へ代入して確かめる図
小さな数で、式を確かめる

実際に代入もしてみます。

> 2 μC と3 μCの
点電荷が、
真空中で0.3m 離れています。
働く力は。

まず単位を直します。

Q_1=2\times10^{-6}\ \mathrm{C},\quad Q_2=3\times10^{-6}\ \mathrm{C}

代入します。

F=9\times10^9\times\frac{2\times10^{-6}\times3\times10^{-6}}{0.3^2}

分子から片づけます。

9\times10^9\times6\times10^{-12}=54\times10^{-3}

分母は 0.3² = 0.09。

F=\frac{54\times10^{-3}}{0.09}=0.6\ \mathrm{N}

0.6 Nです。

ここで確認をひとつ。
距離を0.3 m から
0.6 m へ倍にしたら、
答えは0.15 N
になるはずです。

0.6\times\frac{1}{4}=0.15\ \mathrm{N}

予想と一致しました。
別の道で
確かめる
——STEP2Lesson11で
作った習慣を、
そのまま使ってください。

はるの気づき

距離が1.5倍になったときの力の変化を考える図
公式は、形ではなく変化で使う

私はこの式を、
長いあいだ「分母がr2乗」
として覚えていました。

覚えてはいたのに、問題文が

> 距離を1.5 倍にしたとき

と書いてあると、
手が止まりました。

1.5 の 2乗が出てこない、
ではありません。
そもそも「2乗で効く」を、
変化として使ったこと
がなかった
のです。

式の形を記憶することと、
式が表す変化を使えることは、
別のことでした。

だから今は、
公式を
見たら必ず一度こう聞きます。

「この文字を2倍にしたら、
答えは何倍になる?」

これに答えられない公式は、
まだ自分のものになっていません。

電験3種では、ここを確認する

単位・倍率・向きを確認する試験対策図
電験3種で確認する3つ

出題のされ方は、
だいたい次の3種類です。

  1. 数値を代入して力を
    求める
    単位換算(μC → C)と
    9×10⁹ が使えれば解けます。
  1. 条件を変えたときの倍率を
    問う
    「距離を2倍、
    電荷を4倍にしたら」——代入は
    不要。
    倍率を掛けるだけです。
  1. 3つ以上の電荷が並んで
    いる
    1対1の力を
    それぞれ求め、
    向きを考えて合成します。
    ここで符号と向きを落とすと
    合いません。

3つ目のとき、
いきなり式を書かないでください。
まず図を描き、
それぞれの力の矢印を
引く

向きが決まってから、
大きさを計算します。

STEP3の合言葉のとおりです。
見えないものは、
描いてから計算する。

まとめ

クーロンの法則の要点をまとめた図
クーロンの法則|まとめ

二つの点電荷の間に働く力は、

F=k\frac{Q_1Q_2}{r^2},\qquad k\approx9\times10^9

  • 電荷は1乗
    効く(2倍にすれば2倍)
  • 距離は2乗
    効く(2倍にすれば4分の1)

代入する前に、
倍率で予想してください。
そして距離の2乗は、
球の表面積から来ています。

次は、
この「力」を、
電荷を置く前から
決まっている量として
書き直します。
電界です。

クーロンの法則は、代入より先に「何乗で効くか」でした。使える形になっているか、6問で確認します。

EXERCISE

読んだ直後に、6問だけ。

最初の3問は、
計算しません

頭の中で答えてから、
答えを開いてください。

問1予想 ★☆☆

2つの点電荷の距離を3倍にしました。
働く力は何倍になりますか。

① 1/3 ② 1/6 ③ 1/9 ④ 3

答えを見る

③ 1/9

距離は2乗で効きます。3倍 → 1/3² = 1/9

①を選んだ人は、
分母を r と読んでいます。
この取り違えは、
次のLessonで出る「電位(1乗)」と混ざったときに一気に増えます。
力と電界は2乗、
電位は1乗
——早めに分けておいてください。

問2予想 ★★☆

両方の電荷を2倍にし、
同時に距離も2倍にしました。
力は何倍になりますか。

① 変わらない ② 2倍 ③ 1/2 ④ 4倍

答えを見る

① 変わらない

電荷の効果:2 × 2 = 4倍

距離の効果:1/2² = 1/4倍

4 × 1/4 = 1 打ち消し合って、
もとのままです。

代入は一度もしていません。
変化の倍率を掛け合わせるだけ
この読み方ができると、
選択肢問題の時間が大きく変わります。

問3式を選ぶ ★☆☆

クーロンの法則の比例定数 k を、
誘電率 ε で表すとどれですか。

k = 4πε ② k = 1/(4πε) ③ k = ε/(4π)

答えを見る

k = 1/(4πε)

誘電率 ε が大きいほど、
力は弱くなります。
だから ε は分母です。

4π は、
球の表面積 4πr² の名残です。

形を丸暗記しなくても、「ε が大きい=力が弱い=分母」で位置が決まります。4π の正体は Lesson4 で明かします。

問4まちがい探し ★★☆

次の解答には誤りがあります。
どこでしょうか。

「1 μC と 4 μC が 20 cm 離れている。
真空中の力を求める。

F = 9×10⁹ × (1×10⁻⁶ × 4×10⁻⁶) ÷ 20² = 9×10⁻⁸ N

答えを見る

誤り:cm を m に直さずに代入している

20 cm = 0.2 m 分母は 0.2² = 0.04 であって、400 ではありません。

正しくは F = 9×10⁹ × 4×10⁻¹² ÷ 0.04 = 0.9 N

電荷の μ は直したのに、
距離の cm は見落とす。
これが本当に多い。
距離は2乗で効くので、
換算ミスの影響も2乗で効きます
。20²と0.2²では、
答えが1万倍ずれます。

問5計算 ★★☆

真空中で、3 μC と 2 μC の点電荷が 0.6 m 離れています。
働く力は何 N ですか。

答えを見る

0.15 N

分子:9×10⁹ × 3×10⁻⁶ × 2×10⁻⁶ = 9×10⁹ × 6×10⁻¹² = 54×10⁻³

分母:0.6² = 0.36

F = 0.054 ÷ 0.36 = 0.15 N

計算の順番は、
指数どうしを先にまとめるのが楽です。10⁹ × 10⁻⁶ × 10⁻⁶ = 10⁻³。
ここを電卓任せにすると、
桁を見失います。

問6計算(別の道で確認)★★★

問5の状態から、
距離だけを 0.2 m に縮めました。
力は何 N になりますか。
ヒント:代入し直さずに求められます。

答えを見る

1.35 N

道その1(倍率で):距離が 0.6 → 0.2 で 1/3。
力は 3² = 9倍

0.15 × 9 = 1.35 N

道その2(代入し直し):分母が 0.2² = 0.04

F = 0.054 ÷ 0.04 = 1.35 N

同じ答えに着きました。
試験本番では道その1で十分です。
近づけたら力は強くなる、
しかも2乗で強くなる
——この感覚が、
次のLessonの電界でそのまま使えます。

6問、
おつかれさまでした。

問2と問6が通ったなら、
代入しなくても答えの動きが読めています。

問4で止まった人は、
単位換算だけもう一度確認してから次へ進んでください。

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