前の記事では、抵抗が同じなら、
電圧を大きくすると電流も大きくなると説明しました。
では、電圧を変えずに抵抗だけを大きくすると、
なぜ電流は小さくなるのでしょうか。
オームの法則では、
I=\frac{V}{R}
と表します。
式を見れば、分母の抵抗が大きくなると
電流が小さくなることは分かります。
でも、それだけでは「なぜ?」への答えになりません。
抵抗は、電流を途中で消すものなのでしょうか。
電線の中では、何が電子の動きを妨げているのでしょうか。
電線の中は、何もない道ではない

金属の中には、自由に動ける電子があります。
しかし、電子が進む空間は、
何もないまっすぐな道ではありません。
金属をつくる原子が規則的に並び、
熱によって振動しています。
不純物や構造の乱れもあります。
電圧によって電界が生まれると、
電子には一定方向への動きが加わります。
ところが、
電子は金属の中を進む途中で何度も散乱し、
向きを変えられます。
電界は電子を動かそうとする。
金属の中では、その動きが何度も妨げられる。
この動きにくさを、回路全体から見たものが抵抗です。
混んだ通路で考えてみる
同じ人数が通ろうとしても、
広くて障害物の少ない通路なら、
多くの人が通過できます。
細く、障害物の多い通路なら、
同じ時間に通過できる人数は少なくなります。
電流は、ある場所を一定時間に通過する電荷の量です。
同じ電圧をかけても、
電子の移動が強く妨げられれば、
1秒間に通過できる電荷の量が減ります。
そのため電流は小さくなります。
抵抗は何で決まるのか

同じ材料でできた一様な導線なら、
抵抗は次の形で表せます。
R=\rho\frac{L}{S}
- \rho:材料の電気抵抗率
- L:導線の長さ
- S:導線の断面積
長い導線では、
電子が妨げられる機会が増えるため、
抵抗は大きくなります。
断面積が大きい導線では、
電荷が通れる場所が広がるため、
抵抗は小さくなります。
材料が違えば、電子の動きやすさも変わります。
銅が電線によく使われるのは、
電流が流れやすく、加工もしやすいからです。
電気エネルギーはどこへ行くのか
電子の動きが妨げられると、
電気エネルギーの一部が
金属の原子の振動へ移ります。
私たちが見ると、それは熱です。
抵抗器や電熱線が温かくなるのは、
電流が消えたからではありません。
電気エネルギーが熱エネルギーへ変わったからです。
抵抗は、電流を食べてなくす部品ではありません。
回路全体に流れる電流の大きさを決め、
電気エネルギーを熱などへ変える部分です。
オームの法則を文章で読む
電圧を一定にして、抵抗を2倍にします。
I=\frac{V}{R}
分母が2倍になるため、電流は半分です。
例えば、電圧が12 Vの場合、
- 抵抗が6 Ωなら、電流は2 A
- 抵抗が12 Ωなら、電流は1 A
- 抵抗が24 Ωなら、電流は0.5 A
になります。
数字を覚えるのではなく、
同じ電圧なら、流れにくさが2倍になると、流れる量は半分になる。
と読んでください。
電験三種では、計算前に確認する
抵抗を大きくした問題では、
電流が小さくなるはずです。
もし計算結果が大きくなったら、
掛け算と割り算を取り違えている可能性があります。
また、実際の抵抗値は温度によって
変化する場合があります。
電験三種の基本計算では、
特に指定がなければ与えられた抵抗値を
一定として扱います。
温度係数が与えられた問題では、
温度変化も含めて考えます。
まとめ
抵抗が大きいと電流が小さくなるのは、
電流が途中で消えるからではありません。
電線や抵抗の中では、
電子の一定方向への移動が何度も妨げられます。
動きにくさが大きいほど、
同じ時間に通過できる電荷が少なくなり、
電流が小さくなります。
- 電圧は、電荷を動かすもとになる差
- 抵抗は、電荷の移動のしにくさ
- 電流は、一定時間に通過する電荷の量
この三つの関係を一つにまとめたものが、オームの法則です。
次の「なぜ?」へ
次は、
なぜ?04 なぜオームの法則は V=IR なの?
を考えます。
電圧を上げると電流は増える。
抵抗を上げると電流は減る。
この二つを一つにすると、
なぜ V=IR の形になるのでしょうか。
確認問題
1. 電圧を一定にして抵抗を3倍にすると、電流はどうなりますか。
2. 同じ材料・同じ太さの導線を2倍の長さにすると、抵抗はどうなりますか。
3. 抵抗で電流そのものが使い切られる、という説明は正しいですか。
答え
1. 1/3になる
2. 2倍になる
3. 正しくない。電気エネルギーが熱などへ変わるが、定常状態の直列回路では抵抗の前後で電流は同じ



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