STEP2|直流回路を読む
Lesson 7|Δ-Y変換|三角形の回路を解ける形へ組み替える
三角形につながった抵抗を見ると、
「直列でも並列でもない」と手が止まりやすくなります。
でも大丈夫です。
Δ-Y変換は、複雑そうな回路を
知っている直列・並列へ戻すための組み替えです。
公式を使うこと自体が目的ではありません。
「計算できる形に変える」ことが目的です。
ΔとYは、外から見ると同じ回路
Δ結線とY結線は、内部のつなぎ方が違います。
それでも端子a・b・cから見た電気的な性質が
同じになるように、抵抗値を決められます。

言い換えると、回路の中身は変えても、
外から見える「顔」は変えません。
この考え方が分かると、
公式はただの暗記ではなくなります。
ΔからYへ変換する
Δ結線には、端子a-b間の抵抗、
b-c間の抵抗、c-a間の抵抗があります。
式が三つ並ぶと、急に難しく見えます。
ここは分子と分母を分けて見ましょう。
分母は、Δの三つの抵抗を全部足す。
分子は、求める端子に接する二つの抵抗を掛ける。

たとえばRaを求めるなら、
端子aに接しているRabとRcaを掛けます。
文字だけで覚えず、
図の端子aを指で追うのがコツです。
YからΔへ戻す
反対に、Y結線からΔ結線へ変えることもできます。
まず、Yの抵抗を二つずつ掛け、
その三つを足したものをSとします。
こちらは、求めたいΔ抵抗と
向かい合うY抵抗で割ると整理できます。
Rabを求めるなら、向かい側にあるRcで割ります。
ここでも、式だけを見ずに
端子と抵抗の位置を図で確認しましょう。
対称なら、もっと簡単になる
三つの抵抗がすべて同じなら、
一般式を毎回計算する必要はありません。
ΔからYなら3分の1。
YからΔなら3倍です。

例題|すべて6ΩのΔをYへ変換する
Δの三つの抵抗が、すべて6Ωだとします。
R_a=\frac{6\times6}{6+6+6}=2\,\Omega同じようにRbとRcも2Ωです。
R_a=R_b=R_c=2\,\Omega対称なΔなので、
「6Ωの3分の1」と見ても同じ答えになります。
変換した後が、本当のスタート
ΔをYに変えただけで、
問題が終わるとは限りません。
変換後の回路を見て、周囲の抵抗と
直列・並列にできないかを確認します。

複雑な回路を見つける。
Δ-Y変換で形を変える。
最後に直列・並列でまとめる。
この三段階で考えると、
何をしているのか見失いません。
はるの気づき
Δ-Y変換は、公式の見た目が急に重くなります。
ここで「全部覚えなければ」と思うと、
参考書を閉じたくなりますよね。

最初に覚えてほしいのは、
式ではなく「なぜ形を変えるのか」です。
そのままでは解けない回路を、
自分が知っている形へ戻す。
そのとき、外から見た性質が変わらないようにする。
その約束を数字にしたものが、Δ-Y変換の公式です。
電験3種では、ここを確認する
- 直列・並列だけでは整理できない回路か
- ΔとYの端子a・b・cが対応しているか
- 分子に使う抵抗を図上で確認したか
- 三つの抵抗が同じで、対称性を使えないか
- 変換後に直列・並列の計算を続けたか
まとめ
Δ-Y変換は、複雑な回路を
解ける形へ組み替えるための道具です。
ΔからYでは、分母は三抵抗の合計。
分子は、求める端子に接する二抵抗の積です。
YからΔでは、二つずつの積の合計を
求める抵抗の向かい側にあるY抵抗で割ります。
そして変換後は、直列・並列へ戻れないかを見る。
次は、電源の内側にも抵抗があるとき、
負荷をつなぐと端子電圧が下がる理由を読みます。
EXERCISE
読んだ直後に、6問だけ。
最初の3問は、計算しません。
頭の中で答えてから、選んでください。
問1予想 ★☆☆
なぜ、わざわざ Δ を Y に変換するのでしょうか。
- ①抵抗の値を小さくするため
- ②直列と並列だけで解ける形にするため
- ③電流を増やすため
答えを見る
② 直列と並列だけで解ける形にするため
三角形のままだと、どこが直列でどこが並列なのか決められません。
Y に組み替えると、自分がすでに知っている形に戻ります。
Δ-Y変換は新しい理論ではなく、STEP2-3へ戻るための道具です。公式を使うこと自体が目的ではありません。最初に覚えてほしいのは、式ではなく「なぜ形を変えるのか」です。
問2予想 ★★☆
Δ の3辺がすべて同じ R のとき、Y に変換すると1本あたりはどうなりますか。
- ①3R
- ②R
- ③R/3
- ④R/2
答えを見る
③ R/3
R_Y = R_Δ / 3 Δ から Y は3分の1。
逆に R_Δ = 3 R_Y Y から Δ は3倍です。
三つの抵抗が同じなら、一般式を毎回計算する必要はありません。「Δ→Y は 1/3、Y→Δ は 3倍」を持っていれば、計算結果が桁違いになったときにも気づけます。いちばん軽い保険です。
問3式を選ぶ ★★☆
Δ の3辺を Rab、Rbc、Rca とします。
Y に変換したときの、端子 a につながる抵抗 Ra を求める式はどれですか。
- ①(Rab × Rca) / (Rab+Rbc+Rca)
- ②(Rab + Rca) / 3
- ③(Rab × Rca) / (Rab+Rca)
答えを見る
① 分子は接する2辺の積、分母は3辺の和
分母は、Δ の三つの抵抗を全部足す。
分子は、求める端子に接している二つを掛ける。
Ra なら、端子 a に接している Rab と Rca です。
式が三つ並ぶと急に難しく見えますが、変わるのは分子だけ。分母は3つとも同じです。文字だけで覚えず、図の端子 a を指で追ってください。
問4まちがい探し ★★☆
次の計算には誤りがあります。どこでしょうか。
「端子 a の抵抗は Ra = (10×30)/(10+30) = 300/40 = 7.5 Ω」
- ①分子が、接する2辺の積になっていない
- ②分母に Rbc(20 Ω)が入っていない
- ③Rca を使っているのが誤り
- ④誤りはない。計算は合っている
答えを見る
誤り:分母に Rbc(20 Ω)が入っていない
正しくは (10×30)/(10+20+30) = 300/60 = 5 Ω
気づき方:分母が「和分の積」の形になっている。
それは並列合成の式であって、Δ-Y変換の式ではありません。
似た形の式が並ぶと、無意識に見慣れた方へ引っぱられます。分母は必ず3辺すべての和——ここだけ強く持っておいてください。
問5計算 ★☆☆
Δ の3辺がすべて 9 Ω です。Y に変換すると、1本あたり何 Ω になりますか。
- ①3 Ω
- ②27 Ω
- ③4.5 Ω
- ④9 Ω
答えを見る
3 Ω
対称なので 9 ÷ 3 = 3 Ω
一般式でも同じです。(9×9)/(9+9+9) = 81/27 = 3 Ω
問2で予想したとおり 1/3 になりました。この関係は三相交流でも出てきます。ここで体に入れておくと、後がずいぶん楽になります。
問6計算(電験3種の形)★★★
Δ の3辺が Rab=10 Ω、Rbc=20 Ω、Rca=30 Ω です。
Y に変換したときの Ra、Rb、Rc をすべて求めてください。
- ①Ra = 5 / Rb ≒ 3.33 / Rc = 10 [Ω]
- ②Ra = 10 / Rb = 5 / Rc ≒ 3.33 [Ω]
- ③Ra ≒ 3.33 / Rb = 5 / Rc = 10 [Ω]
- ④Ra = 7.5 / Rb = 5 / Rc = 12 [Ω]
答えを見る
Ra = 5 Ω / Rb = 10/3 ≒ 3.33 Ω / Rc = 10 Ω
分母は共通で 10+20+30 = 60。先に出しておくと速いです。
Ra(a に接するのは ab と ca):(10×30)/60 = 5 Ω
Rb(b に接するのは ab と bc):(10×20)/60 = 10/3 Ω
Rc(c に接するのは bc と ca):(20×30)/60 = 10 Ω
検算の目安:Y の各抵抗は、Δ のどの辺よりも小さくなります。5・3.33・10 は 10・20・30 より小さい ✓
分母を先に1回だけ計算する——それだけで、3回とも同じ数で割ることになり、ミスが減ります。そして忘れないでください。変換した後が、本当のスタートです。周囲の抵抗と直列・並列にできないかを必ず確認します。
6問、おつかれさまでした。
問1〜問4が答えられたなら、この記事は身についています。
迷ったところがあれば、その見出しにだけ戻ってください。全部を読み直す必要はありません。
次のLessonへ
次はSTEP2-8へ進みます。



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