STEP2|直流回路を読む
Lesson 8|電源と内部抵抗|端子電圧が下がる理由を回路で読む
「12Vの電源なら、いつでも12V出る」
そう思っていませんか?
何もつないでいないときは12Vでも、
負荷をつなぐと端子電圧が少し下がることがあります。
その理由は、電源の中にも
小さな抵抗があるからです。
今回は、電源の箱の中まで回路として見てみましょう。
理想電源と、実際の電源
理想電圧源は、どれだけ電流が流れても
一定の電圧を保つモデルです。
一方、実際の電源には内部抵抗があります。

実際の電源は、起電力Eと内部抵抗rが
直列につながった回路として表せます。
電流Iが流れると、内部抵抗でも
電圧降下Irが生まれます。
起電力Eから、電源内部で使った電圧Irを引く。
残ったものが端子電圧Vです。
なぜIrを引くのか
電源が生み出した電圧は、
すべて負荷へ届くとは限りません。
まず電源内部の抵抗でIrだけ下がり、
その残りが負荷にかかります。
この式をVについて並べ替えると、
V=E-Irになります。
マイナス記号を丸暗記するより、
「内部で先に電圧が下がる」と考えましょう。
電流が増えると、端子電圧は下がる
内部抵抗rが一定なら、
電流Iが増えるほどIrは大きくなります。
Eから引かれる電圧が増えるため、
端子電圧Vは下がります。

計算を始める前に、
この増減の向きを予想してください。
答えの端子電圧が起電力より大きくなったら、
式や符号を見直せます。
負荷をつないだときの電流
起電力E、内部抵抗r、負荷抵抗Rは
一つの直列回路になっています。
負荷にかかる端子電圧は、
オームの法則からIRです。
V=E-Irでも、V=IRでも、
同じ端子電圧を求められます。
例題|12Vの電源に負荷をつなぐ
起電力12V、内部抵抗0.5Ωの電源に、
負荷抵抗5.5Ωを接続します。
まず、回路を流れる電流を求めます。
I=\frac{12}{5.5+0.5}=2\,\mathrm{A}内部抵抗で下がる電圧は、
Ir=2\times0.5=1\,\mathrm{V}したがって端子電圧は、
V=12-1=11\,\mathrm{V}
負荷側から確認すると、
V=IR=2\times5.5=11\,\mathrm{V}二つの求め方が11Vで一致しました。
無負荷なら、端子電圧はEになる
何もつないでいない無負荷の状態では、
電流Iは0です。
電流が流れなければ、内部電圧降下Irも0。
だから端子電圧は起電力と同じになります。
V-I特性は、右下がりの直線
V=E-rIこの式は、Iを横軸、Vを縦軸にすると
一次関数になります。

- 縦軸の切片はE
- 直線の傾きは-r
- 電流が増えるほど端子電圧は下がる
ここでも、STEP1で学んだ一次関数が
回路の性質を読む道具になります。
以前の「傾きは1/R」とは、
縦軸と横軸の置き方が違うので注意しましょう。
このグラフでは縦軸がV、横軸がIなので、
式V=E-rIから傾きは-rです。
短絡時は、なぜ大電流になるのか
端子を導線で直接つなぐ短絡では、
負荷抵抗Rが0になります。
電流を制限するのは、小さな内部抵抗rだけです。
そのため非常に大きな電流が流れます。

短絡は危険です。実際には試さないでください。
試験では、回路モデル上の計算として扱います。
はるの気づき
V=E-Irだけを見ると、
なぜIrを引くのか忘れやすいものです。
でも「電源の箱の中にも抵抗があり、
そこで先に電圧が下がる」と考えると残ります。
符号を覚えるより、
どこで電圧が上がり、どこで下がったかを追う。
これはキルヒホッフの第2法則で
一周の電圧を見たときと同じ考え方です。
電験3種では、ここを確認する
- 無負荷ならI=0なのでV=E
- 負荷電流が増えると端子電圧は下がる
- 内部抵抗rと負荷抵抗Rは直列
- V-I特性の傾きは-r
- 短絡時はR=0で、実際の操作は危険
まとめ
実際の電源は、起電力Eと内部抵抗rで表せます。
電流が流れると、内部抵抗でIrだけ電圧が下がり、
残りが端子電圧になります。
電流が増えるほど端子電圧は下がる。
まずこの向きを回路から読めるようにしましょう。
次は、電圧と電流から
エネルギーを使う速さ「電力」を読みます。
EXERCISE
読んだ直後に、6問だけ。
最初の3問は、計算しません。
頭の中で答えてから、選んでください。
問1予想 ★☆☆
電源から取り出す電流を増やしていくと、端子電圧はどうなりますか。
- ①上がる
- ②下がる
- ③変わらない
- ④電源の種類による
答えを見る
② 下がる
実際の電源には、中にも小さな抵抗(内部抵抗 r)があります。
電流 I が増えるほど、内部での電圧降下 Ir も大きくなります。
E から引かれる分が増えるので、端子電圧は下がります。
I ↑ ⇒ Ir ↑ ⇒ V ↓
グラフにすると、横軸 I・縦軸 V の右下がりの直線になります。切片が E、傾きが −r。STEP1の一次関数が、そのまま電源の性質を読む道具になっています。
問2予想 ★★☆
何もつないでいない無負荷の状態で端子電圧を測りました。この値は何と等しくなりますか。
- ①0
- ②起電力 E そのもの
- ③内部抵抗 r
- ④E の半分
答えを見る
② 起電力 E そのもの
無負荷なら電流 I は 0 です。
電流が流れなければ、内部電圧降下 Ir も 0。
だから端子電圧は起電力と同じになります。I = 0 ⇒ V = E
起電力 E は、直接は測れない「電源が本来持っている力」です。電流を流さないときだけ、E と端子電圧が一致します。問題文の「無負荷」「開放」はこの状態を指しています。
問3式を選ぶ ★☆☆
起電力 E、内部抵抗 r、流れる電流 I のとき、端子電圧 V を表す式はどれですか。
- ①V = E − Ir
- ②V = E + Ir
- ③V = E / (Ir)
答えを見る
① V = E − Ir
元は E = Ir + V です。
電源が生み出した E のうち、まず内部で Ir だけ使われ、残りが負荷にかかる。
これを V について並べ替えたのが V = E − Ir です。
マイナス記号を丸暗記するより、「内部で先に電圧が下がる」と考えてください。選び方も簡単です。問1で「電流が増えると端子電圧は下がる」と答えました。I が増えたときに V が減る式は、①しかありません。
問4まちがい探し ★★☆
次の解答には誤りがあります。計算し直す前に気づけますか。
「端子電圧は V = 24 + 0.2×5 = 25 V」
- ①内部の電圧降下を、引かずに足している
- ②0.2 × 5 の計算が違う
- ③起電力を 24 V としているのが誤り
- ④誤りはない。計算は合っている
答えを見る
誤り:内部の電圧降下を足している
正しくは V = 24 − 1 = 23 V
気づき方:端子電圧が、起電力の 24 V を超えている。
電源が持っている以上の電圧が、外に出てくることはありません。
計算をやり直さなくても、「E より大きい V はありえない」という一点で弾けます。答えの端子電圧が起電力より大きくなったら、式や符号を見直す——この上限を持っておくと、見直しの時間が短くて済みます。
問5計算 ★★☆
起電力 100 V、内部抵抗 2 Ω の電源に、18 Ω の負荷をつなぎました。
流れる電流と、端子電圧を求めてください。
- ①電流 5 A / 端子電圧 90 V
- ②電流 5 A / 端子電圧 100 V
- ③電流 50 A / 端子電圧 90 V
- ④電流 5.6 A / 端子電圧 88.9 V
答えを見る
電流 5 A / 端子電圧 90 V
手順1:内部抵抗 r と負荷抵抗 R は直列です。I = E/(R+r) = 100/(18+2) = 5 A
手順2:V = E − Ir = 100 − 2×5 = 90 V
確認:負荷側から見ると V = IR = 5 × 18 = 90 V。一致しました ✓
二通りの求め方が一致するのが、いちばん確かな検算です。この問題の要は、電流を求める段階で内部抵抗を足し忘れないこと。ここを 100 ÷ 18 としてしまう失点が、非常に多いところです。
問6計算(電験3種の形)★★★
同じ電源(E = 100 V、r = 2 Ω)の端子を、導線で直接つないだとします。
流れる電流は何 A ですか。
- ①50 A
- ②0 A
- ③5 A
- ④電流は流れない
答えを見る
50 A(短絡電流)
導線で直接つなぐと、負荷抵抗 R が 0 になります。
残るのは内部抵抗 r だけ。I_s = E/r = 100 ÷ 2 = 50 A
問5では 5 A だったものが、10倍になりました。
このとき端子電圧は V = 100 − 2×50 = 0 V。すべて内部で使われています。
短絡は危険です。実際には試さないでください。
試験では、回路モデル上の計算として扱われます。電流を制限しているのが、小さな内部抵抗だけになる——だから非常に大きな電流が流れる。この理屈が言えれば、短絡の問題は取れます。
6問、おつかれさまでした。
問1〜問4が答えられたなら、この記事は身についています。
迷ったところがあれば、その見出しにだけ戻ってください。全部を読み直す必要はありません。
次のLessonへ
次はSTEP2-9へ進みます。



コメント