なぜ?07 なぜ並列回路では逆数を使うの?

並列抵抗の公式を初めて見たとき、急に計算が難しくなったように感じませんでしたか。

\frac{1}{R}=\frac{1}{R_1}+\frac{1}{R_2}

抵抗なのに、なぜそのまま足さないのでしょうか。

抵抗が2本だけなら、

R=\frac{R_1R_2}{R_1+R_2}

となります。

「掛けて、足して、割る」と手順だけ覚えると、直列との使い分けで迷います。

今回は、公式を使わずに、まず電流の通り道を増やしてみます。

並列回路は、通り道を増やす回路

一つの抵抗だけがつながっている回路へ、もう一つ抵抗を並列に追加します。

電流が通れる道は、1本から2本になります。

道を増やしたのだから、電源から見ると電流は流れやすくなります。

したがって、並列回路の合成抵抗は、元のどの抵抗よりも小さくなります。

10 Ωと20 Ωの並列なら、答えは必ず10 Ωより小さくなるはずです。

ここを先に予想しておけば、30 Ωという答えを書かずに済みます。

並列では電圧が同じ

二本の抵抗を並列につないだ回路図
並列では、各枝の両端が同じ二点へつながります。

二つの抵抗を並列につなぐと、それぞれの両端は同じ二点へ接続されます。

そのため、各抵抗へかかる電圧は同じです。

V=V_1=V_2

枝1を流れる電流は、

I_1=\frac{V}{R_1}

枝2は、

I_2=\frac{V}{R_2}

です。

電源から出た電流は分岐し、あとで合流するため、

I=I_1+I_2

となります。

電流を足すと、逆数が現れる

二つの枝電流を足します。

I=\frac{V}{R_1}+\frac{V}{R_2}

共通しているVを外へ出すと、

I=V\left(\frac{1}{R_1}+\frac{1}{R_2}\right)

回路全体を一つの抵抗Rとして見ると、

I=\frac{V}{R}

です。

二つを比べると、

\frac{1}{R}=\frac{1}{R_1}+\frac{1}{R_2}

となります。

逆数が突然現れたのではありません。

同じ電圧がかかった各枝の「流れやすさ」を足した結果です。

1/Rは、流れやすさ

抵抗Rは、流れにくさです。

その逆数 1/R は、流れやすさを表します。これをコンダクタンスといい、記号G、単位S(ジーメンス)で表します。

G=\frac{1}{R}

並列回路では、通り道ごとの流れやすさが加わります。

G=G_1+G_2

だから、抵抗そのものではなく、その逆数を足します。

直列回路では、一本道に流れにくさが順番に加わるため、抵抗をそのまま足します。

  • 直列:流れにくさを足す
  • 並列:流れやすさを足す

と考えると、二つの公式を区別できます。

6 Ωと3 Ωで確かめる

6 Vの電源へ、6 Ωと3 Ωの抵抗を並列につなぎます。

6 Ω側の電流は、

I_1=\frac{6}{6}=1\,\mathrm{A}

3 Ω側は、

I_2=\frac{6}{3}=2\,\mathrm{A}

合計は3 Aです。

I=1+2=3\,\mathrm{A}

電源から見ると、6 Vで3 Aが流れる一つの抵抗と同じです。

R=\frac{V}{I}=\frac{6}{3}=2\,\Omega

2 Ωは、元の6 Ωと3 Ωのどちらよりも小さくなっています。

同じ抵抗なら、道の本数で割る

三本の同じ抵抗を並列につないで通り道が増えた図
同じ抵抗を並列に増やすと、電気の通り道も増えます。

同じ抵抗Rを2本並列にすると、通り道が2倍になるため、全体の抵抗は半分です。

R_{\mathrm{total}}=\frac{R}{2}

同じ抵抗をn本並列にすれば、

R_{\mathrm{total}}=\frac{R}{n}

となります。

これは新しい公式ではありません。道の本数がn倍になり、同じ電圧で流せる電流がn倍になるため、全体の流れにくさが1/nになるという意味です。

電験三種では、答えの範囲を先に決める

並列抵抗を計算する前に、いちばん小さい抵抗を探します。

合成抵抗は、それより必ず小さくなります。

6 Ωと3 Ωなら、答えは3 Ω未満です。

この予想があれば、直列のように9 Ωと足した間違いや、通分ミスに気づけます。

まとめ

並列回路で逆数を使うのは、抵抗ではなく、各枝の流れやすさを足しているからです。

  • 並列では各枝の電圧が同じ
  • 各枝の電流はV/R
  • 全体の電流は枝電流の合計
  • その結果、1/Rが足し算になる

公式を覚える前に、「並列は通り道を増やす」と考えてください。

道が増えるから流れやすくなり、合成抵抗は小さくなります。

次の「なぜ?」へ

次は、電気数学と静電気をつなぎ、

なぜ?08 なぜ電気の力は距離の2乗で弱くなるの?

を考えます。

距離が2倍で力が1/4になる理由を、球の表面積から見ていきます。

確認問題

1. 10 Ωと20 Ωを並列につないだ合成抵抗は、10 Ωより大きいですか、小さいですか。
2. 6 Vへ6 Ωと3 Ωを並列につないだとき、全電流は何Aですか。
3. 同じ12 Ωの抵抗を3本並列につないだ合成抵抗は何Ωですか。

答え

1. 小さい
2. 3 A
3. 4 Ω

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