Lesson11 三相交流の問題|結線から答えまでの7手順
今日のゴール
Lesson1〜10の知識を、問題文を読む順番に並べ直します。すべての公式を思い出すより、条件を拾い、図に戻り、単位と符号まで点検する習慣を身に付けます。
仕事終わりに過去問を開くと、式がいくつも浮かんで迷うかもしれません。最初の10秒だけ、数値に「線間」「相」「線電流」を書き込みましょう。これは公式を覚える前の準備です。ここに載せる3問は実際の過去問ではなく、この手順を練習するためのオリジナル例題です。
この図を見る理由: 三相の結線を見分け、答えを確認するまでの道筋を先に眺めるためです。

図から読むこと: まず結線を確認し、最後に答えを見直します。
問題文を7手順で読む
- 電圧・電流の数字に「線間/相」「線/相」を書く。
- 指定があれば電源と負荷のY・Δ結線を確認する。未指定なら決めつけない。
- 平衡か不平衡か、中性線があるかを確認する。
- √3の大きさ変換と30°の向きが必要かを決める。
- 必要ならフェーザの向き、基準、電流の正方向を描く。
- 相量または線量で式を選び、計算する。
- 単位・桁・力率範囲・相順・符号を点検する。
この図を見る理由: 公式を選ぶ前に何を拾うか、目線の順番を固定するためです。

図は条件を囲むための空欄カードです。下の例題で拾う条件は「平衡三相」「線間電圧200 V」「線電流10 A」「力率0.8」。結線はこの例題では未指定です。指定のないY・Δを図から推定しません。
図から読むこと: 200 Vは線間、10 Aは線の値なので、平衡の線量式を使えます。結線の指定は不要です。
オリジナル問題1|三相電力
問題: 平衡三相負荷に線間電圧200 V、線電流10 Aを与え、力率0.8でした。全有効電力は?
考え方: 与えられたのは線間電圧と線電流。平衡なので P=\sqrt3 V_L I_L\cos\theta を使えます。
式: P=\sqrt3\times200\times10\times0.8\approx2771\,\mathrm{W}。
答え: 約2.77 kW。
電気での意味: 皮相電力約3.46 kVAのうち、有効電力は力率0.8に相当する約2.77 kWです。Y/Δのどちらかが書かれていなくても、線間電圧・線電流と平衡条件があれば全有効電力を求められます。
この図を見る理由: YとΔで√3が現れる場所は異なっても、線量の電力式は同じだと復習するためです。

図は式の導出を省略した道筋の模式図です。YではV_L=\sqrt3 V_P、I_L=I_P。ΔではV_L=V_P、I_L=\sqrt3 I_P。どちらも平衡条件のもとで、線量の式P=\sqrt3 V_L I_L\cos\thetaへ整理できます。
図から読むこと: 結線の違いを無視してよいのではなく、変換を終えた線量式が共通になります。
オリジナル問題2|Δ結線の相電流
問題: 平衡Δ結線負荷の線電流が30 Aでした。相電流は?
考え方: Δでは電流側が I_L=\sqrt3 I_P。線から相へ戻すので割ります。
式: I_P=30/\sqrt3\approx17.3\,\mathrm{A}。
答え: 約17.3 A。
電気での意味: 1本の線に流れる電流は、接続点で二つの枝電流を位相込みで合成した結果です。
オリジナル問題3|二電力計法
問題: 三相3線式の二電力計の指示が W1=4 kW、W2=−1 kW でした。全有効電力は?
考え方: 指示を符号付きで足します。平衡かどうかは、全有効電力の和を求める条件ではありません。
式: P=W_1+W_2=4+(-1)=3\,\mathrm{kW}。
答え: 3 kW。
電気での意味: 負の指示を0にすると、全有効電力を1 kW大きく見積もってしまいます。
この図を見る理由: 問題の種類が変わっても、条件→式→単位の順を崩さないためです。

図の空欄は、上の7手順を自分の言葉で書くためのものです。上から「量→結線→平衡・中性線→√3・30°→向き→式・計算→確認」の順です。
図から読むこと: 問題文を読んだ直後、いきなり式を選ばず条件を囲みます。
最後の10秒で答えを点検
VとAからWになるか、WをkWへ換算したか。力率は0〜1の範囲か。線から相へ戻すときに掛ける・割るを逆にしていないか。30°を扱う問題では基準フェーザと相順を明記したか。二電力計では負の指示を残したか。この5点を答えの横で確かめます。
この図を見る理由: 計算後に見直す具体的な場所を覚えるためです。

このカードの五つの欄には、上から「単位」「桁」「線/相」「相順・符号」「平衡条件」と書き入れます。図中の絵柄は目印で、実際の電気回路・計器の接続を示すものではありません。
図から読むこと: 最後に条件と答えが一致しているか、自分で確認できます。
止まりやすいポイント
VとIが線量か相量かを書いてから、√3を選ぶ。- 平衡の式を不平衡に使わない。二電力計の全有効電力の和と、差から力率角を出す条件を分ける。
- 位相・30°を問われたら、相順と基準を省略しない。
このLessonのまとめ
三相交流の問題は、線/相→結線→平衡→向き→式→計算→確認の順に読むと迷いにくくなります。三相の計算を学び終えたら、STEP7で電気計測・電力系統の読み方へ進みましょう。STEP7の公開URLが確定するまで、WordPressの「次へ」リンクは設置しません。
EXERCISE
読んだ直後に、6問だけ。
結線・線量・平衡条件から式を選びます。
問1 予想 ★☆☆
最初に確認するのは?
問2 式・法則 ★☆☆
Y結線の線電流は?
問3 式・法則 ★☆☆
平衡三相の線量による有効電力は?
問4 まちがい探し ★★☆
相電流へ必ず√3を掛けた。何が誤り?
問5 計算 ★★☆
線間200 V、線電流10 A、力率0.8の全有効電力は?
問6 計算 ★★☆
二電力計W1=4 kW、W2=−1 kWの全有効電力は?
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