Lesson8 三相電力の測定|二電力計法の「足す」
今日のゴール
Lesson7では三相電力を式で求めました。今日は電力計の指示を読む側へ移ります。
仕事終わりに式が増えたように感じても、まずは「どの計器の値を足すか」だけに絞ってください。三相3線式の全有効電力は、平衡・不平衡を問わず P=W_1+W_2。一方が負なら負のまま足します。
この図を見る理由: 2台の値を一つの全電力へまとめる、今日の目標を先にイメージするためです。

図から読むこと: W1とW2は、どちらも符号付きの指示値です。合計の前に符号を確認します。
電力計は二つのコイルで読む
電流コイルは測る線に直列、電圧コイルは二つの点の間へ接続されます。電力計の表示を読む前に、どの線の電流と、どの2点間の電圧を使っているかを図へ書き込みます。実機の配線は有資格者と機器の取扱説明に従い、ここでは試験問題の接続図だけを扱います。
この図を見る理由: 電力計1台の読みが、どの電流と電圧の組合せかを確認するためです。

図から読むこと: 電流コイルは通過電流、電圧コイルは接続した2点間の電圧を受けます。
三電力計法は「1相ずつ」
中性線を利用できる三相4線式などでは、各相の電力を1台ずつ測り、P=W_a+W_b+W_c と足せます。負荷が不平衡でも各相の内訳が分かるのが利点です。コイルの極性・接続点を揃えて読みます。
この図を見る理由: 3台の指示が、a・b・cのどの相に対応するかを区別するためです。

図から読むこと: 全有効電力は各相の有効電力の和です。この図は指示値の足し算を示す概念図で、実配線図ではありません。
三相3線式では二電力計法
中性線のない三相3線式では、共通の1線を基準にし、残る2線へ電流コイルを置く二電力計法を使えます。例えばb線を共通に取るなら、1台目はa線電流とa-b線間電圧、2台目はc線電流とc-b線間電圧に対応させます。この向きに対応する符号付きの指示値を W1、W2 とすれば、
これは三相3線式の全有効電力に対し、平衡・不平衡のどちらでも成り立ちます。理由は、3線式では各瞬間の電流に i_a+i_b+i_c=0 が成り立つためです。b線を基準に書き直すと、全瞬時電力は p=(v_a-v_b)i_a+(v_c-v_b)i_c。時間平均を取れば、2台の指示値の和になります。
この図を見る理由: 2台がどの線の電流とどの線間電圧を見るかを確認するためです。

図から読むこと: 2台の値が相電力を1台ずつ直接測っているわけではありません。それでも合計は全有効電力になります。この図は入力の対応関係であり、コイルの配線図ではありません。
負の指示を捨てない
平衡で力率が低い場合、接続規約によって一方の指示が負になります。例えば W1=4 kW、W2=−1 kW なら、P=3 kW。負の値を0に変えて4 kWとしてはいけません。計器の読み替え・極性反転を使う場合も、計算上は負の符号を戻します。
平衡正弦波負荷では、接続規約を固定すれば2台の和と差から力率角を求められます。よく使う大きさの関係は |\tan\theta|=\sqrt3\frac{|W_1-W_2|}{|W_1+W_2|} ですが、進み・遅れや差の符号を決めるには、相順・電流の向き・コイル極性の図が必要です。不平衡負荷には、この力率角の式をそのまま適用しません。
この図を見る理由: 力率が下がると片方が負になり得ることを、数値の足し算と結び付けるためです。

図から読むこと: 負の指示も全電力へ符号付きで入れます。
止まりやすいポイント
- 全有効電力は二電力計の符号付きの和。負の指示を0にしない。
- 力率角に差を使う式は、平衡正弦波と接続規約が前提。
- 電力計の表示だけでなく、電流コイル・電圧コイルがつながる位置を見る。
このLessonのまとめ
二電力計法では三相3線式の全有効電力が W1+W2 で求まります。次のLesson9では、測る対象を一次側・二次側に分け、変圧器の結線と相電圧を追います。
EXERCISE
読んだ直後に、6問だけ。
電力計の役割、符号付きの和、力率式の条件を確認します。
問1 予想 ★☆☆
電流コイルの接続は?
問2 式・法則 ★☆☆
二電力計法の対象は?
問3 式・法則 ★☆☆
全有効電力は?
問4 まちがい探し ★★☆
W2=−1 kWを0として計算した。誤りは?
問5 計算 ★★☆
W1=3 kW、W2=1 kW。全有効電力は?
問6 条件 ★★☆
2台の差から力率角を求める前に確認するのは?
二電力計法の読み方をもう少し整理したい方へ。無料の弱点診断を見るから学習案内を確認できます。



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