【STEP6-2】三相の波形とベクトル|正相・逆相を順番で見分ける

STEP6 Lesson2 三相の波形とベクトル。案内役と120度ずれた3つの波形

Lesson2 三相の波形とベクトル|正相・逆相を順番で見分ける

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三相交流の波形が、a相→b相→c相の順に同じ形を見せるとき、何が分かりますか?

読む前に1問。10秒で終わります。

今日のゴール

Lesson1では「同じ周期の波形が120°ずつずれる」ことを確認しました。今回は、そのずれの順番を読みます。

読み終えたら、波形から正相・逆相を見分け、波形のずれをベクトルの向きで説明できるようになります。

波形の山を左から追う

波形の横軸は時間、または角度\omega tです。右へ行くほど時間が進みます。縦軸は、同じ基準点から見た各相電圧の瞬時値です。

平衡三相で、a相を基準にした正相の式を並べます。

v_a=V_m\sin\omega t v_b=V_m\sin(\omega t-120^\circ) v_c=V_m\sin(\omega t-240^\circ)

−120°は、b相の波形がa相より右へ120°ずれて現れることを表します。−240°のc相は、さらに120°後です。

この図を見る理由:3本の波形の山を左から順に追い、相順を「時間の順番」として見るためです。

正相の三相波形。a、b、cの山が120度ずつ後に現れる

図から読むこと:山の順番はa→b→c。3本の高さと周期は同じで、横方向の位置だけが違います。

正相と逆相は、順番が違う

正相は、同じ形の山がa→b→cと現れます。逆相は、a→c→bです。

逆相になっても、各相の電圧の大きさや周波数が自動的に変わるわけではありません。変わるのは相の現れる順番です。

たとえばb相とc相を入れ替えると、相順が反転します。三相電動機では、この入れ替えが回転方向を変える基本になります。ただし、モーターの結線や制御方式によって扱いは異なるため、ここでは相順と回転方向のつながりだけを押さえます。

この図を見る理由:正相・逆相を、符号の暗記ではなく順番の比較として見るためです。

正相a-b-cと逆相a-c-bの順番を比較した図

図から読むこと:a相を出発点にしたとき、次に現れる相がbかcかで相順を見分けられます。

同じ時刻では、3相の値は違う

横軸の同じ位置に縦線を引いて、3つの波形の高さを見ます。

たとえば\omega t=90^\circの瞬間は、a相が最大です。b相とc相は同じ負の値になります。

v_a=V_m,\qquad v_b=-\frac{V_m}{2},\qquad v_c=-\frac{V_m}{2}

符号つきで足すとV_m-\frac{V_m}{2}-\frac{V_m}{2}=0。これはLesson1で見た「平衡した3相の瞬時値の和は0」と同じことです。和が0でも、各相の電圧は0ではありません。

波形のずれを、ベクトルの向きで見る

時間軸では120°のずれを横方向に描きました。同じ関係を回転ベクトルで表すと、3本の矢印の向きの差が120°になります。

このLessonでは、a相のベクトルを0°とし、b相を−120°、c相を+120°(−240°と同じ向き)に置きます。3本は同じ長さです。ベクトルは同じ角速度で回転するので、この角度の間隔を保ち続けます。

この図を見る理由:波形の横方向のずれと、ベクトルの角度のずれが対応することを確かめるためです。

a相0度、b相マイナス120度、c相プラス120度の三相ベクトル

図から読むこと:3本とも長さは同じ。異なるのは向きで、隣り合う角度は120°です。

3本をつなぐと、元の位置に戻る

ベクトルを頭から順に並べると、閉じた三角形になります。3本を足した結果は0です。

ただし、図の「和が0」は同じ基準点から見た、平衡した3相のベクトルの話です。線間電圧は2本の相電圧の差なので、同じ式をそのまま当てはめません。

この図を見る理由:3相のつり合いを、式だけでなく矢印の足し算として見るためです。

同じ長さの三相ベクトルを頭からつないで閉じた三角形

図から読むこと:最後の矢印の先が出発点へ戻るため、合成ベクトルは0です。

止まりやすいポイント

  • −120°は「電圧が負」という意味ではありません。a相より波形が遅れて現れることを示す位相の表記です。
  • 波形の高さは瞬時値、ベクトルの長さは振幅(実効値で描く場合もあります)。何を長さにした図か、凡例を確認します。
  • 「3相の和」と「2相の差」を混同しないでください。次のY結線で線間電圧を見るときは、相電圧どうしを引き算します。

このLessonのまとめ

  • 相順は、波形が時間軸に沿って現れる順番。
  • 正相はa→b→c、逆相はa→c→b。
  • 平衡三相では3本の大きさ・周期は同じで、位相が120°ずつ異なる。
  • 波形の時間差は、ベクトルの向きの差として表せる。
  • 同じ基準点から見た3相のベクトル和は0。ただし線間電圧は2相の差。

次のLessonへ

Lesson3では、3つの相をY形につなぎます。中性点から各線まで測る相電圧と、2本の線の間で測る線間電圧を、まず図の測定点から見分けましょう。√3の詳しい導出はLesson5で扱います。

EXERCISE

読んだ直後に、6問だけ。

相順を読み、波形とベクトルの対応を確認します。

問1 予想 ★☆☆

正相で、山が現れる順番は?

問2 予想 ★☆☆

逆相で、山が現れる順番は?

問3 式・法則 ★★☆

b相の式にある「−120°」は、a相に対して何を表しますか?

問4 まちがい探し ★★☆

「3相の和が0だから、各相の電圧も0だ」の誤りは?

問5 計算 ★☆☆

同じ長さの3本のベクトルを等角度で置くと、隣同士は何度ですか?

問6 応用 ★★☆

b相とc相を入れ替えると、基本的には何が変わりますか?

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