Lesson9 三相変圧器と結線|巻数比の前に相電圧
今日のゴール
Lesson8までに区別した線量・相量を、変圧器の一次側と二次側へ広げます。
Y-Y、Δ-Δ、Y-Δ、Δ-Yのどれでも「一次線間→一次相→巻数比→二次相→二次線間」の順で電圧の大きさを追えれば十分です。
仕事終わりに式が多く見えたら、まずノートにこの五つの箱だけを書いてください。巻数比を入れるのは中央の相電圧どうしです。
この図を見る理由: 今日の道筋を計算の前に目で確かめるためです。

図から読むこと: 巻数比に進む前も、使った後も、結線に応じて相量と線量を区別します。
まず、一次と二次を分ける
ここでは記号の左を一次、右を二次とします。Y-Δ は一次がY、二次がΔ。一次線間電圧を二次線間電圧へ直接、巻数比だけで移すと誤ることがあります。各側で相電圧と線間電圧の関係が違うからです。
この図を見る理由: 一次・二次の結線を見分けてから数字を動かすためです。

図から読むこと: 左右それぞれでYかΔかを決めます。
巻数比は巻線どうしで使う
理想変圧器として、一次巻線の巻数を N_1、二次巻線を N_2 とします。各巻線の相電圧の大きさは \frac{V_{P2}}{V_{P1}}=\frac{N_2}{N_1}。\frac{N_2}{N_1}=k と置けば V_{P2}=kV_{P1} です。実機では電圧降下や損失があるため、これは理想近似です。
一次がYなら V_{P1}=V_{L1}/\sqrt3、Δなら V_{P1}=V_{L1}。二次がYなら V_{L2}=\sqrt3V_{P2}、Δなら V_{L2}=V_{P2}。この4段階を固定します。
この図を見る理由: √3を掛ける場所と割る場所を一枚で追うためです。

図から読むこと: 巻数比は中央の相電圧どうしに使います。
Y-Δの小さな例
一次Y、二次Δ、V_L1=6600 V、巻数比 N_1:N_2=10:1 とします。一次相電圧は 6600/√3≈3811 V。二次相電圧はその1/10で約381 V。二次Δでは相電圧と線間電圧が同じなので、V_L2≈381 V です。
この図を見る理由: 一次で割った√3を、二次Δでは掛け戻さないことを見るためです。

図から読むこと: Y側で線間から相へ割り、Δ側は相から線間へそのまま戻します。
結線の特徴と位相の注意
Y側では中性点を取り出せます。Δ側には閉じた循環路があり、特定の高調波成分の電流が内部を循環し得ます。ただし用途・接地・保護方法まで、この図だけで決まりません。Y-Δ、Δ-Yでの一次・二次の線間電圧の位相変位は、端子の接続・極性・ベクトルグループによって決まります。ここでは大きさの変換だけを扱い、「必ず30°進む」などと固定しません。
この図を見る理由: 電圧の大きさと位相を別の問いとして扱うためです。

図から読むこと: 結線の名称だけで相対位相の向きを断定しません。
止まりやすいポイント
- 巻数比に線間電圧をそのまま入れる前に、一次・二次のY/Δを確認する。
- 一次側で割る√3と、二次側で掛ける√3を混同しない。
- 位相変位は端子規約・ベクトルグループが必要。大きさの計算とは分ける。
このLessonのまとめ
一次線間→一次相→巻数比→二次相→二次線間。この順にすれば、結線が変わっても電圧の大きさを追えます。次は、三相電流が作る磁界を見ます。
EXERCISE
読んだ直後に、6問だけ。
結線を見て、相電圧へ直してから巻数比を使います。
問1 予想 ★☆☆
巻数比が直接対応するのは?
問2 式・法則 ★☆☆
平衡Y側の線間電圧は?
問3 式・法則 ★☆☆
Δ側の線間電圧は?
問4 まちがい探し ★★☆
Y-Δで線間電圧に巻数比だけを掛けた。誤りは?
問5 計算 ★★☆
Y側線間6600 Vの相電圧は?
問6 順序 ★★☆
正しい電圧変換の順は?
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